2013年03月01日(金) 18:00
2006年末の阪神JFから現在の新阪神コースになり、1600mはスローな流れが増えたものの、全体には紛れの生じにくいマイル戦になった。力があれば少々のスローでも差しタイプが十分に届く。重なるように、近年は数多くの「名牝」が存在した。
桜花賞路線の主流は「阪神JF→チューリップ賞→桜花賞」。すべて阪神の1600mで行われる。したがって、もともと他のクラシックより明確な勢力図を描きやすいのが特徴だったが、新阪神になって以降、もっとはっきりした「核」が描かれることが多い。
今年のローブティサージュ(父ウォーエンブレム)のように、2歳12月の阪神JFを勝った馬の路線の成績は次のようになる。
阪神JF、チュー、桜花、オークス(ダ) 2007年 ウオッカ 1-1-2-1着 2008年 トールポピー 1-2-8-1着 2009年 ブエナビスタ 1-1-1-1着 2010年 アパパネ 1-2-1-1着 2011年 レーヴディソール 1-1-不-不 2012年 ジョワドヴィーヴル 1-3-6-不
2007年のウオッカはなんと日本ダービー馬となり、09年のブエナビスタは春の2冠馬。10年のアパパネは牝馬3冠馬。08年のトールポピーは桜花賞こそ凡走したがオークス馬。
2011年のレーヴディソールは骨折でクラシック不出走でだから例外。昨年のジョワドヴィーヴルは、歴史的な牝馬ジェンティルドンナが誕生した年だから、さすがに仕方がない。
阪神JF、そして3歳になってからチューリップ賞で好成績を収めると、もうクラシックの快走は約束されているのである。
そこで今年のローブティサージュの評価だが、阪神JFは「前半45秒9−57秒8…」という2007年以降ではもっとも速い流れ。後半は「48秒3−36秒4−12秒7」。明らかに差し馬有利に展開し、1分34秒2の決着だった。もちろん、桜花賞並みの快時計で抜け出したローブティサージュの評価が下がるものではないが、2着クロフネサプライズがクビ差でねばり、3着レッドセシリアもそこからクビ差に突っ込んでいる。
ローブティサージュの推定前後半は、「46秒6−47秒6」=1分34秒2。一方、クロフネサプライズのそれは「46秒0−48秒2」=1分34秒2
ハイペースで飛ばした逃げ馬を差なく追走し、残り300mくらいの地点で先頭に立ったクロフネサプライズは、差してきたローブティサージュに並ばれてからも懸命に粘って「クビ」差だけの同タイム。中身は互角と判断したい。
今回は阪神JFのようにブンブン飛ばす逃げ馬はいない。武豊騎手にチェンジしたクロフネサプライズは阪神JFよりずっと楽なペースで先行できる可能性が高い。枠順の不利もない。
同じクロフネ産駒の現5歳馬ホエールキャプチャと似たタイプで、ローブティサージュも、レッドオーヴァルも上々の仕上がりを示しているが、スピード感あふれる素軽さではむしろクロフネサプライズのほうが上ともいえる。トライアル向きタイプともいえる。
ファミリーは、甦った快速スワップスの一族で、引退したトランセンド(父ワイルドラッシュ)の3代母サニースワップス(父ハワイ)は、クロフネサプライズの4代母でもある。非力ではない。
ローブティサージュと、紅梅Sの勝ち方があまりにも鮮やかだったレッドオーヴァルが大本線。素質に大注目はヴィルジニア。あと、アユサン、プリンセスジャック、快調教のコズミックショアにもちょっと手をのばしておきたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。