器の大きさを見極める

2013年03月07日(木) 12:00

 器の大きさが見えていれば、それに合わせた接し方ができる。その見極めが正しいかどうか、これが問題だ。そしてもとめられる眼力、分かっているのだが。とにかく、互いが背伸びした関係だったら、その判断の目は曇っていく。等身大を大切にしていきたい。

 見極めるといえば、競馬もそうだ。若い馬の成長を支えるのは馬自身の気性もあるが、その器を見つめる人間の側にもある。そしてその前提となるのが馬への思いだ。どう接しているか、どう見つめているかだ。

 どの馬も、一戦一戦、どう成長するか期待されている。そうした思いは馬にも伝わる。敏感に人の思いをくみ取ろうとするから、関わり方が微妙だ。つまりは、人間の性格も馬の成長に影響を与えるということになる。

 春のクラシック戦線、多くの陣営が必死に努力を重ねている最中にある。

 先日の弥生賞、両雄対決の風評の中、3戦2勝3着1回でその全てのレースで最速の上がりをマークしていたカミノタサハラが気になっていた。ディープインパクト産駒の第3世代、どれが頭角をあらわすかだが、その一頭だろうという期待もあったのだ。

 厩舎にはかつて、同じ馬主さんの三冠牝馬アパパネがいたが、その面倒をみていた方がカミノタサハラの担当をされているというので、色々と思い出すことがあった。

 性格が良くて扱いやすい、本当にかわいくてずっと見ていても飽きないとアパパネへの思いを述べていたが、そのアパパネと同じでとても素直で扱いやすいと言うのだから、これはうれしい話ではないか。人間があわてると馬にも伝わるから気をつけていたという心遣いを、この馬にもしているのだから、ゆっくりスタートしてエンジンのかかりが遅かったこれまでのことが理解できたのだ。目つきが変ってきたという国枝調教師の言葉どおり、今回はあの勝利。器の大きさが見えている人たちに囲まれて、今後がさらに楽しみだ。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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