中日新聞杯

2013年03月08日(金) 18:00

 2000年から2011年の期間は12月に行われていたため、若い3〜4歳馬の出世レースに近く、しばらくは阪神の鳴尾記念と同じトーンだった。しかし、鳴尾記念と同様にシーズンが移って、昨2012年から新装なった中京競馬場の春3月のGIII重賞に戻ってきた。それまでの中京記念の位置に代わって入った形になり、いきなりベテラン7歳スマートギア=7歳ダンツホウテイの波乱の決着だった。しかし、昨年の新中京の開催は芝コンディションが現在とはまったく違うタフな芝だったから、参考外か。

 3月の、ややローカル扱いにも近い中京でのハンデ戦。今年は若い4歳馬から、ベテラン9歳馬まで、「6世代」の特徴あふれるオープン馬が18頭もそろった。おそらく、ありがちなパターンなどない難解な重賞になること必至だろう。

 注目馬の筆頭は、まず4歳牝馬ジョワドヴィーヴル(父ディープインパクト)。現在は同期の3冠牝馬ジェンティルドンナ(父ディープインパクト)に大きく水をあけられ、陰に隠れる存在にもなりかねないが、昨年のいまごろはエース格の評価はこちら。チューリップ賞でも、桜花賞でも1番人気だった。

 10ヶ月もの長期休養を余儀なくされた骨折からは、もう立ち直っている。調教の動きに本来のバネが感じられるようになった。体もひと回り大きくなり、そろそろ真価発揮があるだろう。騎乗するのは、新スタートにふさわしく戸崎圭太騎手。戸崎騎手は、芝のレースの、それも牝馬に一番合う気がする。少なくとも腕っ節の強さや、馬を動かす迫力で勝負型ではない。ジョワドヴィーヴル=戸崎の再スタートに期待しよう。

 馬券を買いたいのは、同じ4歳でも牡馬のアンコイルド。4連勝の勢いに注目された前回の中山記念は、さすがに苦しかった。勝ったナカヤマナイト以下の古馬オープン馬が強かったこともあるが、中山コースは初めて、距離の1800mまで初めてだったから、流れに乗れないままの11着(0秒9差)は仕方がない。

 だが、今回は全5勝を記録する2000m。レースの流れからして異なる。GIIの別定戦から、一転、GIIIのハンデ戦である。調教の動きも前回よりはるかにいい。余裕残しにも見えた腹のあたりも締まってくるだろう。2000mなら流れに乗れる。

 祖母Triple Couronne(父Riverman)は、ジャパンCに2回もきたから日本でも良く知られる女傑トリプティクの全妹。母の父アルザオ(その父Ryphard)は、そう著名でもないが、こと日本ではディープインパクトの母の父として知れわたっている。タイムパラドックスもそうだった。

 父ジャイアンツコーズウェイ産駒は、ここまで日本で走った馬は「やっぱり単調な死角をもつストームキャット系」などといわれていたが、このアンコイルドは緩急のペースもこなしているから、これまでのストームキャット系産駒とはひと味ちがうだろう。

 4連勝で止まってしまい、この18頭立てだから一気に人気は落ちたが、たちまち巻き返して欲しい。まず崩れないアドマイヤタイシと、前出ジョワドヴィールヴが強敵。以下、いまなら2000mも平気と思えるショウリュウムーン、ジャスタウェイ、パッションダンス、ドリームセーリング、渋いトウカイパラダイスまで押さえたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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