週刊サラブレットレーシングポスト

2003年06月10日(火) 15:21

 エプソムのダービー開催が終わると、欧州競馬の焦点は6月17日から始まるロイヤルアスコット、6月29日の愛ダービー、そして7月5日のエクリプスSへとシフトしていく。

 既報の通り、今季の英国には総額500万ポンド、日本円にして10億円という莫大なボーナスがかかった『BHBサマートリプルクラウン/グランドスラム』が導入され、有力各馬のローテーション決定にも少なからぬ影響を与えている。

 例えば、グランドスラムのファーストレッグの1つに指定されたオークスを制したカジュアルルック。従来ならば次走は7月13日の愛オークスで決まりだったのだが、折角のことなのでと、セカンドレッグのエクリプスS参戦も視野に入れながら今後の調整プランを練っているところだ。

 同じくグランドスラムの有資格馬となった、コロネーションCの勝馬ウォルサンの陣営も迷っている。これも適正距離から言うなら、12Fのキングジョージをターゲットにするのが本筋なのだが、管理するクライヴ・ブリテン師が「エクリプスも考えないと」と、微妙な発言としている。

 そして、ダービーを制してこれも有資格馬となったクリスキン。ダービーの登録がなく、直前に9万ポンドの追加登録料を払って出走したこの馬は、実は、愛ダービーにもエクリプスSにも登録がない。9万5千ユーロの追加登録料を払って愛ダービー出走となれば、1週間前に仏ダービーを圧勝したダラカニとの、『英仏ダービー馬対決』が実現する運びとなる。英ダービーでクリスキンが得た暫定レートが122。一方、仏ダービーにおけるダラカニのレートは未だ発表がないが、おそらく同等の数字だろうというのが衆目の一致するところで、愛ダービーはまさに「どちらが強いか」を決める大一番となるはずだ。

 ちなみに、北米における同世代のファニーサイドは、9.3/4馬身差の圧勝を演じたプリークネスSで、1つ上の123という暫定レートを獲得している。

 さて、グランドスラム・ファーストレッグの残る1レース、プリンスオヴウェールズSは6月18日に行われるが、これが間違いなく今年のロイヤルアスコットの目玉と言って良い、豪華メンバーが出走を予定している。まず、ドバイWC圧勝のムーンバラード。早くから欧州緒戦をここと決め、調教でも抜群の動きを披露している。同じくここが今季緒戦となりそうなのが、昨年G1・2勝の牝馬イズリングトン。また、前走イスパーン賞を苦手の重馬場にも関わらず快勝したファルブラヴも、ここが照準。更に、前走ロッキンジSをぶっちぎったホークウィングもここに登録がある。ホークウィングの場合は前日のマイルのG1クイーンアンSと両睨みだが、こちらに廻ってくれば、『ムーンバラードvsホークウィング』という、早くも今季の欧州チャンピオンを決定しかねない、一大決戦となるはずだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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