2013年03月14日(木) 12:00
世間というもの、うっかりしていると、噂(うわさ)を立てられたり、笑いものにされたり、食い物にされたりと、それは恐ろしいもの。そんな世間にふりまわされないようにと身構える。残念ながら、頭の片隅にいつもそういう思いはある。だからといって、なにもかも、人の話は信じる、というのは寂しい。そこで、世間を見抜く力が生きてくる。
しかし、人間には弱点がある。どうしても人の話が気になってならないものだ。その弱点、次のどれかに当てはまるのではないか。
いわれるままになんでも信じる、さらにそれに上塗りして周囲に広める、全て右から左に流して気に留めない、信じる信じないでなく考え込む、そうかなと思ってもそういうこともあるなと考え直す、わかったふりをしても何もわかっていない、かまわず笑って楽しんでしまう、嘘と思っても知らぬふりをして黙っている、話を合わせて強調する、等々。いくらでもあるのだ。
競馬を考えていると、いわゆる世間に流される話がいくらでもあることに気付く。当事者の語る言葉が頼りだから仕方がないのだ。
フィリーズレビューでは、ある馬についてこんなストーリーが語られていた。
祖母は我が強く、カイバをあまり食べてくれなかったが、スピードは抜けていた。この馬はおばあちゃんに似て気の強いところはあるが、掛かるわけでもなく乗りやすい。京都のオープンで2着した2走前は、まだ成長途上だったと思っている。前走の京都のマイル戦は、牡馬を相手に最速の上がりをマークして勝目をあげたが、じわじわと確実に良化している。課題のゲートもじっくり練習した成果があった。馬体の面は、どこも悪いところがないのがいい。
複数の関係者の話を総合するとこうなるのだが、2戦目の阪神JF10着のメイショウマンボがストーリーの主役。5戦目の今回は、どれよりも鋭い末脚で勝利したのだった。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。