週刊サラブレッドレーシングポスト

2003年06月17日(火) 15:34

 「ドバイで激走した馬は立て直しに手間取る」。アメリカの関係者の間で囁かれている『ジンクス』が、今年もムクムクと頭をもたげ、その威力を発揮しようとしている。

 6月14日、ベルモントパークで行われたG2ブルックリンHに出走したドバイ帰りのハーランホリデーが、1番人気を裏切り5頭立ての最下位に沈んだのである。

 そもそもが、第一回ドバイWCでシガーの僅差の2着に健闘したソウルオヴザマターが、消耗が激しくて立て直しが利かず、これが現役最後のレースとなったのがはじまり。シガーにしたって、帰国直後のサイテーションチャレンジこそ制したこのの、秋には別馬のように敗戦を重ねたのは、春の疲れが秋に出たと言われたものだ。

 97年の第2回、シングスピールの2着となったサイフォンも、帰国後は3連敗で引退。

 98年の第3回ドバイWCを快勝したケンタッキーダービー馬シルヴァーチャームも、帰国緒戦のスティーヴンフォスターHで2着に敗れると、続くデルマーHでは弱敵相手に5着と大敗。結局もう1度ひと息入れて、調子が戻ったのは秋も深まってからだった。

 ちなみに、この年シルヴァーチャームの4着となったマリークは、結局年内一杯休養を強いられている。

 00年にドバイミレミアムの2着となったベーレンズも、帰国後は4連敗で引退。

 更に、01年に第6回ドバイWCを制したキャプテンスティーヴも、帰国後は4連敗で、秋を待たずに現役を退いている。

 そして今年、3月29日に行われた第7回ドバイWCでムーンバラードの2着となったハーランズホリデー。ブルックリンHでは、前年のBCクラシック勝馬ヴォルポニー、前年のジョッキークラブGC勝馬イヴニングアタイア、前走メットマイル2着で復活したサーランドらを抑えて1番人気に推されたのだが、スタートから終始後方のまま最下位という、全く見どころのないレースをしたのである。

 欧州よりも輸送距離が長く、時差もある「アメリカ/ドバイ」間の遠征が、馬にとって相当な負担になることは間違いなさそうだ。

 ハーランズホリデーと言えば、東海岸における古馬の代表格となるべき存在である。このまま間隔を空けずに使い続けるのか、もう1度休養をとるのか。いずれにしても、早く本来の姿を取り戻して欲しいものである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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