平成25年度JRA育成馬展示会

2013年04月10日(水) 18:00 5

 春の訪れとともに、生産地では2歳馬の動きが活発化してくる。去る4月9日(火)には浦河のJRA日高育成牧場にて、来る4月23日に中山競馬場で開催される「JRAブリーズアップセール」に上場予定の育成馬展示会が行なわれた。

JRA育成馬比較展示風景

JRA育成馬比較展示風景

 午前10時より、まず比較展示からスタート。ブリーズアップセール上場予定馬全82頭のうち、日高育成牧場ではJRAホームブレッド馬8頭を含む60頭が昨夏より育成されている。全体を5つの班に分割し、11頭~13頭ずつ各15分の展示時間で集まった関係者に披露された。

 調教師や馬主の他、日高を中心とした各馬の生産者の顔も数多く見られた。これらの育成馬は昨年、各地で開催された1歳馬市場においてJRAが購買したもので、宮崎育成牧場と日高育成牧場で約半年間、調教を実施してきた。そして毎年、4月下旬にブリーズアップセールにて売却される。JRAが手がけた育成馬ということで人気が高く、売却率もダントツである。 因みに昨年は74頭が上場され、全て売却された。平均価格は984万7千円。総額で7億2865万円を売り上げた。

 その後の成績は、74頭中72頭が中央に登録され、4月8日時点で、出走したのは65頭(90.3%)、勝馬が11頭、計13勝を挙げている。うちサウンドリアーナ(父ケイムホーム)が京都競馬場においてファンタジーステークス(GIII)を制しており、またシンネン(父ステイゴールド)は500万下のあすなろ賞を勝っている。

サウンドリアーナの半弟、オテンバコマチの2011

サウンドリアーナの半弟、オテンバコマチの2011

 比較展示には、BTC騎乗技術者養成研修第30期生18名もお手伝いしており、JRA職員に交じって、担当馬を引き、立たせる姿が見られた。マツリダゴッホやディープスカイなどの今年デビューを迎える新種牡馬の産駒たちにはとりわけ熱い視線が注がれていた。

 それにしても、同じように調教を進められてきた2歳馬たちが、この時期になれば出来上がっている馬と遅れている馬との落差が目立つ。名簿を片手にぐるりと見て歩くと、ランキング入りしている種牡馬の産駒ながら、実馬がひどく見劣りする例もあり、また逆に、地味な種牡馬の産駒でも、立ち姿が素晴らしく美しい馬や、隆々とした雄大な馬格の馬もいて、千差万別であった。

 JRA育成馬は、どちらかというと「仕上がりの早い即戦力」として、これまで実績を挙げて来た。割に早い時期からデビューし、仕上がりの良さでポンと勝ち上がる馬が毎年出てくる。中には、そのままの勢いで重賞まで制覇してしまう早熟な馬もいる。

 しかし、傾向としてはやや竜頭蛇尾の印象が拭えない。秋から冬にかけて、良血馬や有力馬が次々にデビューし始めると、多くが早熟タイプなだけに苦戦を強いられるケースが目立つ。このあたりがいくぶん残念ではある。

 比較展示の後は1600mダートコースを使っての騎乗供覧が行なわれた。これには前述の30期生たちもJRA職員とともに実際に育成馬に乗る。向こう正面からスタートし、残り400mをハロン14秒前後、2頭併走で追うのである。相当な緊張だとは思うが、みんな元気に何とか乗りこなしていた。

最高タイムを記録した2頭

最高タイムを記録した2頭

 トレーニングセールの追い切りと異なり、それほどタイムに重きを置いているわけではないとはいえ、仕上がりの早い牝馬などはどうしても時計が出てしまう。参考までに記すと、最高タイムは3班の8組目に登場した8番「エポックサクラの11」(父アルデバランII、JRAホームブレッド馬)、66番「ウインゼフィールの11」(父シンボリクリスエス、新冠・村上欽哉牧場生産)の牝馬コンビが出した12秒5、11秒5の24秒0であった。

 これら育成馬は、この後、中山競馬場に移動して、4月23日のブリーズアップセール本番に備えることになる。JRAブランドの信頼性、人気は高く、今年も活発なセリが予想される。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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