圧巻であり破天荒なロゴタイプ

2013年04月18日(木) 12:00 13

 圧巻、この言葉をレースシーンに登場させるケースはそれほど多くない。ロゴタイプの皐月賞優勝は、その少ないケースにあてはまる。なんと言っても驚異のコースレコードだ。中山最終週の馬場、それを考えたら破天荒と言えるかもしれない。

 相通じるところのある破天荒と圧巻というふたつの言葉の意味を探るとこうなる。

 天荒は荒れ果てた土地、そういう土地や状態を切り拓くことが破天荒だ。一方の圧巻は書物の中で最もすぐれた箇所、最高にいい部分を言うが、もともとは、中国古代に遡り、官吏登用試験の答案をさし、試験の結果、最もすぐれた答案を全答案の一番上にのせたので他の諸巻を圧するということになったと「言葉のルーツ(興津要著)」に記してあった。

 ロゴタイプの戦いぶりは、このふたつの言葉をすっかり自分のものとしていた。

 何と言っても、その強さ。半馬身という着差以上に余裕が感じられ、田中剛調教師が「ああいう形になったら負けないと思った」と語ったほどだった。一瞬の脚で抜け出してしまう、その戦い方こそ、相手にお手あげ、万事休すを思わせたのだ。勝ち方を知っているとはこういうことだろう。

 2歳王者でスプリングステークスを勝ち本番も勝った馬と言えば、過去にミホノブルボンとナリタブライアンがいた。2頭ともその春の強さは圧巻という言葉がぴったりだった。ロゴタイプが、これら2頭の蹄跡を継いでダービー馬に輝くかどうか、興味は大きくふくらむ。

 ベゴニヤ賞で2歳レコード、朝日杯FSのタイレコードに続いての3度目のレコード勝ちから、速い馬という言われ方になりかねないが、ロゴタイプを表現するにはそれでは物足りない。他馬と接触しても動ぜず、勝負所では瞬時にスピードに乗せる反応の良さ。その勝ち方は、正に圧巻であり破天荒であったと呼ぶべきだろう。数少ないケースだと思う。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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