タイキシャトルが勝てなかった因縁の鬼嫁

2013年04月18日(木) 18:00

 最近の栗東は寒暖の差が激しい毎日が続いています。まさに三寒四温。陽射しはとても強いのですが、空気はまだ少し肌寒いというかんじ。我々人間は、太陽が出るか出ないかで羽織るものを1枚脱いで調整しますが、馬は脱げないから人間以上にこの太陽の暑さを肌で感じているのでしょうね。馬房の中はみな日蔭なので涼しいですけど。馬のためにも、もう少し陽射しが和らげばいいのですが…。

ツィンクルソード

ツィンクルソード

 さて。緑色の2歳馬ゼッケンを見かける機会も多くなりました。先週、ツィンクルブライドの(牡、父・デュランダル)が松永昌厩舎に入厩。ペールギュントの半弟にあたります。毛色は母譲りの芦毛くんです。馬名はツィンクルソードの予定です。芦毛馬は体のラインがわかりにくいものですが、彼は見るからにマッチョ。「馬体重は500キロ。早めのデビューが見込めます。スピードタイプでしょう」と中山助手。牧場ではかなり順調に乗りこまれていたようで、仕上がりが早いので産地馬体検査を受けずに栗東トレセンへ入厩したとのことでした。阪神デビューを視野に入れ、現在はゲートを入る練習をしています。

シシャモオージ

シシャモオージ

 この芦毛くんと同じ松永昌厩舎へ入厩したのはテンザンストームの2歳。黒鹿毛の牡馬で父はタイキシャトル、馬名はシシャモオージの予定です。牧場時代、ツィンクルソードは少し幼いところがあったと聞いていたのですが、この2頭が一緒にいる様子を見るとツィンクルソードのほうがどっしりと落ち着いていてシシャモオージのほうが幼くてヤンチャです。「馬体重は約450キロ。栗東へきた初日はもっとうるさかったんです。でも翌日、ツィンクルソードが来てからはだいぶ落ち着いてきました。カイバもよく食べています」と担当の三浦助手。ツィンクルソードと同じく現在はゲートに入る練習中。「来週あたりからゲートを出る練習をはじめる予定」(中山助手)です。デビューは函館開催を視野に入れています。

 そうそう。実はこの両親、4歳(現在の3歳)時に一度だけ対戦しているんです。6月の菩提樹ステークス、逃げたテンザンストームは3連勝中のタイキシャトルの追撃をクビ差かわして逃げ切り勝ちをおさめています。タイキシャトルは3着に敗れた引退レースをのぞき、それ以前もそれ以降もひたすら勝ち続けた強豪。もしも菩提樹ステークスの敗戦がなければ、タイキシャトルはデビュー以来、勝ち星を重ね続けていたわけで…。あの対戦から十数年を経て、クビ差かわせなかった牝馬がお嫁さんになるとは!こんなストーリーを紐解いていくのも競馬の醍醐味ですね。

コパノリチャード

コパノリチャード

 最後に皐月賞後も元気いっぱいのコパノリチャードをご紹介しましょう。皐月賞のあのレコードタイムの立役者はまさに彼。やっぱり距離が少し長かったかな…。次走は予定どおりNHKマイルに駒を進めます。「皐月賞ではゲート内で横を向いているタイミングでスタートが切られた。だから余計に引っかかってしまったけれど、あれがなければもっとゆっくり行けたと思うよ。」と宮調教師。今度は距離実績もあるマイル戦。よほど自信があるのでしょう。「今度は大丈夫」と余裕の笑顔を見せていました。さぁ、次走は力強い横綱相撲を見せてもらいましょうか。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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