京都新聞杯

2013年05月03日(金) 18:00

 同日、東京で行われるダービートライアル「プリンシパルS」は、2010年から1着馬にのみ優先出走権が生じることになった(それまでは2頭)。1〜2勝級がそこで勝つのは至難。一方、GII京都新聞杯なら、2着の賞金加算でもダービー出走可能な獲得賞金額に達する可能性がある。昨年まではそうでもなかったが、プリンシパルSの頭数が減り、京都新聞杯の出走頭数がいつもの年よりずっと多くなった。

 かつて菊花賞トライアルだった京都新聞杯が、5月に移ったのは2000年から。それ以降、昨年までの13年間に京都新聞杯から

2000年 アグネスフライト 「京都新聞杯1着→ダービー1着」
2004年 ハーツクライ 「京都新聞杯1着→ダービー2着」
2005年 インティライミ 「京都新聞杯1着→ダービー2着」
2012年 トーセンホマレボシ 「京都新聞杯1着→ダービー3着」

 計4頭のダービー好走馬が生まれている。ただし、京都新聞杯でなんとか賞金を加算したような2着馬は、ダービーでは不振。一方、プリンシパルS組は、

1996年 ダンスインザダーク 「プリンシパルS1着→ダービー2着」
2002年 マチカネアカツキ 「プリンシパルS2着→ダービー3着」
2009年 アントニオバローズ 「プリンシパルS2着→ダービー3着」

 1995年にNHK杯(旧トライアル)が消滅し、NHKマイルCが創設されると同時に生まれたのがプリンシパルS。最初の1996年、これを勝ったダンスインザダークがダービーを2着したものの、以降16年間、プリンシパルS組のダービー連対はない。まして優先出走権が1頭になったから、プリンシパルSの重要度は下がってしまった。

 断然の人気を集めることになるが、このあとダービーに向けて…の期待もあわせ、注目はキズナ(父ディープインパクト)。

 2004年のキングカメハメハ、2008年ディープスカイ、そして2006年のダービー2着馬アドマイヤメインと同じように、3月の「毎日杯」を快勝したこの馬、1800mを1分46秒2(自身の上がり34秒3)でまとめた内容が光る。

 もちろん馬場差はあるが、ダービー馬ディープスカイは1分46秒0(上がり34秒8)だったから、ペースと上がりの鋭さを考慮すると、ディープスカイとほとんど同じような能力を持っていると考えていい。この時点で。

 3年目のディープインパクト産駒は、父サンデーサイレンスの場合も、また多くの人気種牡馬と同じように重賞成績もう一歩だったが(良質の交配相手になる牝馬を、1〜2年目は全力をあげて確保することも関係する)、桜花賞で1〜2着独占、フローラSも1〜2着。青葉賞は1着、3〜4着など、クラシックの頂点が近づくにつれ、勢いを増してきた。

 日本の緩急のペースを問われる芝のビッグレースでは、とくに東京では、自身を含めた名種牡馬ストームキャット系種牡馬の産駒は大不振。また、代を経て母の父になると直父系ほどではないにしても、半姉ファレノプシスも牝馬3冠のうち東京2400mのオークスでは案外だったように、本番のダービーでは「ストームキャットの血」がカギになると思えるが、京都の2200mなら守備範囲である。

 相手はそれこそ一長一短で迷うが、この中間の動きの良さと、距離延長を味方にできそうなジャイアントリープ(父ネオユニヴァース)と、ここへきて動きに力強さが出てきた印象が強いリグヴェーダ(父ディープインパクト。ゴールドアリュールの下)が本線。

 手を広げるレースではないが、デムーロ兄弟が騎乗するアクションスター、サトノキングリーがその次のランク。伏兵は、ライジングゴールド(父ステイゴールド)、ペプチドアマゾン(父アグネスタキオン)と考えた。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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