クロフネサプライズは「ダークホースじゃない。芦毛だよ」

2013年05月09日(木) 18:00

横綱相撲を見せたキズナ

横綱相撲を見せたキズナ

 いよいよ来週がオークス、そしてその翌週が日本ダービーですね。ダービーを間近に控え、栗東トレセンもダービー前独特の緊張感が漂い始めています。それを「ピリピリ」という言葉で表現するのはカンタンですが…それだけじゃ表現しきれない、何ともいえない緊迫感、そして気配が有力馬の陣営から伝わり始めています。

 先週、京都新聞杯で横綱相撲を見せたキズナもその例に漏れず。馬を間近で見るだけで、背中がピンと伸びるような、何ともいえない緊張感が走ります。その気配、馬はわかっているのかな?キズナに関して言うと、すごくマイペースそうであまり関係ないような印象…(笑)。これ、京都新聞杯前に厩舎のまわりを運動している写真ですが、キズナはいつものコーナーごとにやや暴れるような素振りを見せます。どういうわけか、コーナーごとにいつもややエキサイトしている風なのです。これ、カメラが向けられシャッターを切られるときの音が嫌なのかな?と思いきや、「そんなことはないよ。だいたいいつもそのあたりではこんな調子だから」と担当の田重田厩務員。キズナが普段運動する場所には4つの曲がり角がありますが、そのうち2つは狭くて周辺は車もほとんど通らず報道陣もいません。一方、残る2つは広くて車の通行もあり、報道陣も頻繁にカメラを構えます。キズナは後者の2か所でピリピリとした素振りを見せるようですね。

 まぁ、ダービー当日の異様な雰囲気はこんな甘いもんじゃなく…それを乗り越える強靭さがあってこそ栄冠を手に入れられるわけで。そんなことは十二分に承知の担当の田重田さんは、カメラを向ける我々を咎めることなく淡々とキズナを引っ張っているのでした。このあと2週間、栗東トレセンでキズナをとりまく環境もさらに過熱したムードになるのは間違いないので、それをキズナ自身がどうこなすのか、注目しています。

1番人気に支持されたクロフネサプライズ

1番人気に支持されたクロフネサプライズ

 さて、今週水曜日の栗東トレセンは、ユタカスマイルがさく裂していました!同世代としては、すごく嬉しいですね。ユタカさんはキズナで京都新聞杯を制しましたが、直線で満を持してキズナが伸びていくとき、観客から拍手が湧きあがったのをちゃんとわかっていて「のりながら聞こえていましたよ」(武豊騎手)と話していました。

 そして、桜花賞で1番人気に支持されたクロフネサプライズのオークス1週前追い切りに騎乗。陣営によれば「今週、ユタカさんにビッシリ追い切ってもらって、来週は軽めに調整」(田所助手)とのこと。つまり、この日の追い切りはオークスに向けて大きな意味を持つものだったのです。

 ウッドチップコースを周回したあと、坂路で単走での追い切り。2回目のハロー明けの直後のタイミング。最後、左にややきれていきましたが、最後までしっかりした脚どりで坂を駆け上がっていました。時計は52.3-38.2-25.1-12.7。
調教後、ユタカさんは「この時間のわりによく動いていた。最後バテるかと思っていたけど、バテなかったね」とコメント。「前に行けるのはベスト。桜花賞より今回のほうが先手はとりやすいだろうし。少々、オーバーペースになっても気分よく行かすというのもあるね。」(武豊騎手)

最後までスマイル満開のユタカさん

最後までスマイル満開のユタカさん

 チューリップ賞は手綱プラプラの状態でも「ある程度行ったら自然と止まった」(武豊騎手)とのこと。「少しモノ見をするところもあるし、スピードに乗って前に行くわりにはバテないから、そこに期待しているんだ。」(武豊騎手)そこである記者が「桜花賞では1番人気だったけど、今回はダークホースだね」と声を掛けると即座に「ダークホースじゃないよ。芦毛だよ」と切り替えすユタカさん。このあたり、さすがです(笑)ちなみに、左回りについては「右まわりだと外に膨れるところがあるから、かえっていいかも」とのこと。「オークスって距離(適性がなさそうで)ダメかな?と思った馬が案外うまくいくことがあるレース。ダイワエルシエーロとか、イソノルーブルとかね。でも、『やっぱりホラ、ダメやったやん』というのもよくある(苦笑)。どっちに出るか、だね。」と、最後までスマイル満開のユタカさんなのでありました。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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