2013年05月22日(水) 18:00
メジロフランシス2011公開調教
公開調教2頭併せ風景
初日20日(月)に公開調教、翌21日(火)にセリという日程が組まれ、20日は午前10時より午後4時過ぎまで、休みなく公開調教を繰り返した。どんよりと曇った西風の強い日だったが、それでも事故らしい事故もなく、無事に全馬調教を披露することができたのは何よりであった。
公開調教は基本的に2頭併せで実施され、終いの2ハロンが計時される。大半の馬がそれぞれ11秒台から12秒台前半でまとめ、仕上がりの良さをアピールした。中には最後の1ハロンを10秒台で駈け抜ける上場馬もいて、総じてタイムは速めであった。
全体を6つのクルーに分割し、それぞれ25〜29組に分かれて次々にコースに登場する。併走と単走とが混じっているため、とにかく見ていても時間がかかった。特別に昼休みなどは設けないで、予定表に記載された順にほぼ休みなく公開調教が進んだが、それでも最後の第6クルーの全23組が全て走り終えたのは午後4時を回ったあたり。延々6時間余に及び、いかに上場頭数が多いかを改めて思い知らされた。
この日は気温が10度前後と低く、外にいると体が冷えてきて、カメラを構えていても指先がかじかんでくるほどであった。そんな中、向かい風をものともせずに果敢にも半袖で騎乗する元気の良い若者もいたのにはちょっと驚いた。
スタンドの大半が撤去された札幌競馬場
前日、どんよりとした空模様に見舞われたものの、翌日は一転して朝から青空が広がり、気温もどんどん上昇して絶好のせり日和となった。前日の公開調教は4コーナー寄りの旧スタンド(一部残されている)に購買者や関係者が陣取り、通常の右回りから左回りに変更して変則的な形で実施されたが、セリ会場は1コーナー寄りの、装鞍所や検量室などの横の狭い空間に場所が設けられ、いつもとはかなり勝手の違う雰囲気である。
また前述のように上場予定頭数が多いため、せり開始も午前9時と早かった。定刻通りにせりがスタートしたが、まだ会場入りしていない購買者も数多く、そのためいつになく出だしは低調なムード。しかし、21番「チェーフォレスト2011」が登場しせりが始まると価格が見る見る間に急上昇し、最終的には3000万円まで達した。結局、これがセール全体を通じての最高落札価格馬であった。生産・所有・飼養管理者いずれも追分ファームである。調教タイムも速かったが、それとともに購買者の根強い「ブランド志向」にも支えられた感が強い。追分ファームからはこの日4頭が上場されたがいずれも落札され、完売であった。
最高価格馬21番チェリーフォレストの2011
チェリーフォレストの2011公開調教
最終的には262頭(牡153頭、牝109頭)が上場され、152頭(牡94頭、牝58頭)が落札された。売却率は58.01%。上場頭数は昨年より81頭増加したものの落札頭数は29頭の増加にとどまり、売却率は前年比で約10%下落した。売り上げ総額は8億5261万500円(税込)、平均価格560万9280円は昨年よりも15万6756円の下落である。
1000万円以上の落札馬が昨年と比較するとほぼ倍増の19頭に及んだ一方で、全体的には価格の伸び悩みが目立った。このセールの出身馬から活躍馬が出てくること以外に売却率と平均価格を上げるカンフル剤はないのかもしれない。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
田中哲実「生産地だより」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。