2013年06月05日(水) 18:00
先週金曜日(5月31日)より佐賀競馬「九州ダービー・栄城賞」で始まった「2013ダービーウィーク」は、その後土日を挟んで6月3日(月)に舞台を盛岡に移し「岩手ダービー・ダイヤモンドカップ」が行われ、4日(火)には門別競馬場にて「北海優駿」である。
北海優駿当日の門別競馬場内風景
とはいえ、競馬を見るにはとても良い季節になってきたことを実感させられる。暑くもなく寒くもない絶好のコンディションで、まだこの時期は虫も飛んでいないので、外で過ごしても全く平気だ。
北海優駿は数えて41回目で、最終12レースに行われた。出走馬は11頭。今年ははるばる川崎よりヴィクトリータイム(田島寿厩舎)がここを照準に遠征してきた他は、全て道営所属馬だ。圧倒的な1番人気に支持されたのは、11番ミータロー。昨年4月25日に門別の「JRA認定スーパーフレッシュチャレンジ競走」(日本で一番早い時期に行われる2歳戦)にてデビュー勝ちを収め、これまで11戦を消化してきた。前走の北海優駿トライアル(カジノドライヴ賞、オープン特別)では2着に3馬身差をつけ1番人気に応えていた。
2番人気はミータローと同じ田中淳厩舎のレオニダス(父ステイゴールド)。その他はストロングサンデー、ライプメイン、ヴィクトリータイムあたりだが、ミータロー人気が突出しており、後は離れた横並びである。
午後8時40分にゲートが開いて、北海優駿がスタートした。距離2000mは4コーナーポケットからの発走だ。まずストロングサンデーとレアルタが飛び出し、川崎のヴィクトリータイムがそれに続く。レースは終始、五十嵐騎手の乗ったストロングサンデーが引っ張る形で進み、1コーナーから2コーナーを回って行く。ミータローは先行するストロングサンデーやヴィクトリータイムを射程距離に入れながら5、6番手あたりを追走する。
向こう正面に差しかかったところで、“異変”が起こった。3番手くらいの位置にいたアルポケット(阿部龍騎手)が、突然、大外に1頭だけ外れて行き、そのまま外埒沿いまで寄って、ポツンと離れた位置を追走し始めたのであった。
北海優駿を制したミータロー
さて、4コーナー。逃げ粘るストロングサンデーの外側から被せるように大本命のミータローが交わしにかかり、ライプメインもその先頭集団に取りつく。後は大きく開いて、後続集団も次々に4コーナーを回って来る。直線、残り200mあたりでミータローが一気にスパートすると、ストロングサンデーを難なく捉えて突き放し、そのまま3馬身差をつけ1着でゴールインした。完勝であった。
勝ちタイムは2分9秒9。ようやくミータローはこれで重賞初制覇となり、道営3歳チャンピオンの座を手中に収めた。服部茂史騎手はこれで同レース3度目の勝利。また田中淳司調教師は嬉しい初優勝となった。
なお、門別にはDr・コパさんこと小林祥晃オーナーも応援に駆けつけ、口取り写真では満面の笑顔であった。また表彰式の際には、前日(月曜日)に盛岡競馬場で一緒だった古川浩アナウンサーと軽妙なやりとりを披露し、場内を沸かせる一幕もあった。
小林オーナーも笑顔で口取り写真に収まった
ところで、ミータローは父プリサイスエンド、母サカノエンジェル(その父リンドシェーバー)という典型的な短距離血統だが、現時点で道営勢の中では実力が1枚上である。2000mはやや守備範囲を超えているのではと思っていたが、まったく危なげなかった。
生産は新ひだか町の静内酒井牧場。
なお、この日の門別競馬は前年よりも4043万円多い2億987万7千円を売り上げ、まずまずの成績であったことを付記しておく。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。