梅田智師、浜中を叱咤激励「どうせ泣くなら勝って泣け」

2013年06月06日(木) 18:00

 先週の安田記念、ロードカナロアの精神力の強さに圧倒されました。肉体的にスピードとパワーを併せ持っているだけでも素晴らしいのに、それを引き出すにじゅうぶんな精神力を兼ね備えている。そんな印象を受けました。ニュースにも書きましたけど、実にオンオフの切り替えがキッチリしている。無駄がないかんじがしました。それは先週このコラムでお届けしたキズナに通じるものがありますね。GI馬にふさわしい貫録がありました。

 一方、実に歯がゆかったのは2着のショウナンマイティ。スタートで2馬身の遅れをとり、直線でも進路を確保するまで少々時間がかかりました。にもかかわらず、追いだしてからは実に素晴らしい伸び脚…。これは悔しい。実に悔しい。

 安田記念のレース直後、ゴール板過ぎたところで1着入線のロードカナロア騎乗の岩田騎手に対し、ショウナンマイティ騎乗の浜中騎手は勝利を称えるようなアクションをしていましたね。わたしはそれをテレビで見ていたのですが、「あぁ、ふたりは仲がいいから“おめでとう”のアクションをしているのかな?」と思っていたのです。その後、梅田智師と話すまでは。

「実は安田記念のレース後、マイティは一番最初に検量室に引き上げてきた。僕は厩務員より先に検量室前に到着したから、すぐにマイティを迎えにいったんだ。すると、浜中は『すみません』と言いながら泣いていた。スタートで2馬身遅れたとか、直線での進路を確保するのに手間取ったとか、いろんな思いが交錯したんだと思う。」(梅田智師)

 レースの直後は反射的に勝者を称えたものの、そこから検量室へ引き上げるまでのあいだにおそらく感極まってしまったのではないでしょうか。でも、負けは負け。マイティの鞍上で涙する浜中騎手に対し、梅田智師は

「どうせ泣くなら、勝って泣け」

と叱咤激励したそうです。

厩舎で静養中のショウナンマイティ

厩舎で静養中のショウナンマイティ

「直線で内を突いていたら…という思いはある。決して力負けではないと思う。本来は1800がベストの馬だけど、今回は少しかかるくらいのマイル仕様にして挑んだ。とにかくタイトルが欲しい。その一心だったからね」(梅田智師)

 このあとは宝塚記念には向かわず、しばらく厩舎で静養。その後、いったん放牧に出して英気を養い、秋の天皇賞を目指すそうです。

「厩舎としては、次も浜中でいきたい。マイティのいちばんいいところを掴んでいる騎手だし、この安田記念の屈辱をバネに次は自分の手で勝利をものにして欲しい」(梅田智師)

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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