アイビスSD

2013年07月27日(土) 18:00

 カルストンライトオの53秒7に続いて、53秒8、53秒9、54秒0。似たようなタイムが並んでいるのが、歴代の勝ち馬の記録である。3cmの微差[タイムなら0、00001秒くらいの差か]でも、同着ではなく、徹底的な写真判定で、時間をかけてその差を明確にしようとする日本の競馬なのに、時計の差はあくまで、40〜50年前と同様の0秒1単位を踏襲している。

 国際レースでは、各国の53秒49などの記録を、慣例通り、100分の1単位はみんな切り捨てて53秒4と表記することにしてしまうのが日本の公式記録のあり方だから、時計に対する考え方は、もう、あまりに古すぎるかもしれない。

 2000mの1分58秒0と、1分58秒1には、多くの場合さして大きな差はないだろうが、直線1000mのレースをむかえるたびに、考えてしまう。53秒99の勝ち馬と、54秒01の差は微差なのに、公式記録は0秒1差となり、53秒00と、53秒09は実際は決定的な差なのに、公式記録は同じ53秒0なのである。これはまずい。

 知られるように、ここまでは、ただ飛ばしたのでは速いタイムは記録されにくく、カルストンライトオの記録[21秒8-10秒2-21秒7]=53秒7や、2011年のこのレースで記録された53秒8[21秒8-10秒5-21秒5]が示す絶妙のバランスが、もっとも高速時計に結び付きやすいと考えることが多かった。

 しかし、10年のケイティラブは最初の2ハロンを21秒5で飛ばして、53秒9で押し切っている。カルストンライトオから、もう10年もたって、芝はさらに整備されている。昨年のハクサンムーンは、21秒5で飛ばしたからパドトロワに差されて、54秒5=[21秒5-10秒6-22秒4]に止まったのではなく、3歳のあの時点ではパワー不足だっただけで、行く気になれば未勝利馬でも可能な前半21秒5など、あれでいいのではないかと考えたほうがいいのだろう。

 もう1頭、同じ4歳馬のリトルゲルダは・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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