2013年07月29日(月) 18:00
本馬場入場の時間になった人気のハクサンムーン(父アドマイヤムーン)は、なかなか出てこない。馬場入りが遅くなったうえ、馬場の入り口で立ち止まると、突然、気難しい仕草を始めた。今回が初めてではなく好調時に見せる仕草(酒井学騎手は慣れている)というが、馬場入りを促そうとすると、立ち上がるようにその場でくるくる急旋回を繰り返し、どうしても馬場に入ろうとしない。約5分間ぐらいだったか。単勝オッズ210円の断然人気馬が、きわめて珍しい行動に出たから見守るファンはびっくりした。
立ち止まって動かなくなる癖なら、スイープトウショウや、ずっと以前の菊花賞馬イシノヒカルや、わりに多くの馬の性癖として知られる。世界の名馬ではハイペリオン(遺伝子を持つ馬など山のようにいる)にはそういう癖があり、ハイペリオンの直系祖父になるベイアード(1906年生まれ)など、ふと立ち止まると30分も動かない癖があったと伝えられる。
しかし、その場でくるくる回る旋回を始め、それを何度も繰り返すハクサンムーンの不思議な性癖は、いったいなにを伝えたかったのだろう。不思議である。馬房の中の旋回癖は知られるが、これはぐるぐる歩きまわる形に近く、その場で回転する旋回は珍しい。この癖は最近、「再発して強くなっている…」(西園調教師)といわれる。もっと大活躍すると、ハクサンムーンのこの奇妙な旋回癖は、やがて伝説として語り継がれるかもしれない。
そんなレース前の出来事があったからか・・・
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。