スダチが教えてくれたこと

2013年08月01日(木) 18:00 108

 先週、西園厩舎は3勝!新潟ではアイビスサマーダッシュでハクサンムーン、五頭連峰特別でクッカーニャ、函館では仁山特別でヴァリアシオンがそれぞれ優勝しました。そして、小倉の佐世保Sではシゲルスダチが実にいい内容のレースを見せてくれましたね。スダチくん、よく頑張りました!

茶目っ気たっぷりのシゲルスダチ

茶目っ気たっぷりのシゲルスダチ

 4コーナーでは2着のミヤジエムジェイと馬体を接しての攻めぎあい。512キロのミヤジエムジェイとプラス10キロでやっと430キロのシゲルスダチ…。サイズ的には、どうみても2まわりくらい小さいのですが。それでもスダチはまったくひるむことなく、ミヤジエムジェイに対して果敢に張り合っていました。結果は1着のバーバラにクビ+ハナ+アタマの差で遅れ、スダチの着順は4着でした。でも、走破タイムは1着と同じ1分6秒9。ゴール板を過ぎてもまだ勢いは衰えず、力強く走っていましたし、ホント元気いっぱい。小倉の水はやはり合うようで、本当によかったです。

 担当の塩満助手によれば、レース前日に小倉競馬場に到着したあとも非常に元気でカイバもよく食べていたそうですよ。その前の中京戦ではどこか落ち着きのないところを見せていたので、今回の小倉ではどれだけレース前に無駄な消耗をせずに済むかもひとつのポイントでしたが…無事クリアできたようです。

「ミヤジエムジェイと激しい競馬をしたのに、臆することなくとても元気いっぱい。レース後も順調ですよ」(塩満助手)

 思い返せば、スダチは昨年のNHKマイルでひとつ間違えば命に関わるようなアクシデントに巻き込まれ、落馬・競走を中止したんですよね…。そういうトラブルに巻き込まれた馬はそれが記憶から消えず、その後のレースで怯んだり馬群を嫌がったり、ひどくなるとレースに参加すること自体を拒否するようになります。でも、スダチがレースに対しての躊躇するようなそぶりを見せたのはNHKマイルの次のCBC賞だけ。その後は元気にレースに参加しています。しかも、今回の佐世保Sでは前述のとおりミヤジエムジェイに張り合うタフっぷり!過去の痛手を引きずることなく、元気に日々しなければならないことを頑張るシゲルスダチの姿には、教えられるものがあります。

鈴木さんに甘えるシゲルスダチ

鈴木さんに甘えるシゲルスダチ

 かつて担当していた鈴木さんがよく、スダチの心の強さと素直さについて話してくれました。

「スダチはやんちゃで扱う担当者は気を抜けない、手のかかる馬。でも、心の根っこはとても素直。疲れているはずのときも、スダチなりにからだを休めて明日にそなえている。だから、こちらもスダチに応えるように頑張らなくては、と思うんですよ」

大人になったシゲルスダチ

大人になったシゲルスダチ

 馬は喋れませんが、スダチを見ているとその態度から彼が自分のすべきことに向かって毎日頑張っているのがよくわかります。でも、スダチは決して器用じゃないから、その方法がときにはヤンチャ過ぎたりしますが(苦笑)。それでも、憎めない。そんな不思議な魅力がスダチにはあります。

 8月1日、シゲルスダチはまた次のレースに向かって坂路調教を再開しています。次は叩き3戦目。またスダチから目が離せませんね。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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