『“大井のDNA”我々は立ち止まってはいけない』大井競馬(1)

2013年08月05日(月) 12:00

地方競馬の中心的存在、大井競馬。1986年、全公営競技初のナイター開催をはじめ、馬券の三連単・三連複をいち早く導入したり、東京大賞典を地方競馬初の国際GIとしたりと、動きの速さと積極的な戦略が目を引きます。地方競馬のリーダーとして、ひいては競馬界の先導役として、どんなポリシーを持っているのか。受け継がれる「大井のDNA」に迫ります。(今週のゲスト:斉藤弘開催執務委員長、聞き手:赤見千尋さん)


赤見 :斉藤さんは大井競馬の「開催執務委員長」でいらっしゃいますが、具体的にはどんなことをされているのですか?

おじゃ馬します!

大井・斉藤弘開催執務委員長

斉藤 :開催の時はレースの進行をはじめ、全ての状況を把握して、レースが滞りなく行われるように、いつも緊張してレースを迎えています。委員長は一番権限を持ってはいるんですけれども、そうは言っても開催時は即座に判断しなければならないものが多い。落馬の問題、審判の問題、払戻の問題など、全てを委員長権限でやっていると、迅速に対応できなくなってしまうんですね。

それで「開催執務委員制度」というものがありまして、番組委員、裁決委員、審判委員、投票委員なりに権限を持たせて、最終的な責任を私が持つというふうにやっています。

赤見 :じゃあ、大きな意味で統括されているという。

斉藤 :そうですね。例えば大雨で馬場が冠水してしまって、競馬を続行するのかなどの問題については、委員長判断で中止にしたりします。

赤見 :そういう体制があって、競馬運営が円滑に行われているんですね。さて、今回は「主催者としての大井競馬」をテーマにお話を伺っていきたいと思います。

大井競馬は、日本初のナイターの導入をはじめ、三連単・三連複の馬券をいち早く採り入れたり、最近では大ヒットドラマ「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系列)の篠原涼子さん、三浦春馬さん、藤木直人さんによる豪華なイベントなど、インパクトのあることを次々と実行されていますよね。それには、どんなポリシーがあるのでしょうか?

斉藤 :我々は、競馬を「興行」だと捉えているんですね。そのために「いつも動いていないと止まってしまう」という意識が、大井の場合には強いのかなと思います。常に物事を考えて新しい物を採り入れて行く、というのがうちのやり方。よく「大井のDNA」と言われますが、そういうものがありますね。

それは何でかと言うと、良い悪いは別にして、日本の競馬は「JRA」と「地方競馬」の2つに分かれているわけですが、JRAが中心になっていくのは、それは当然だと思います。ただ、JRAと地方競馬の両方で日本の競馬が成り立っている以上、我々の存在意義というのも当然あると思っているわけです。

JRAはあれだけ組織が大きいので、何か物事を変えて行くときには、相当の労力なりが必要になる。でも大井の場合には、それよりも組織が小さいというのもあって、比較的動きやすい。そういう意味で、変な話ですけれども、日本の競馬で新しい方向性があったときに、大井が先陣を切って「こういうことはどうだろう」「日本の競馬においていいのだろうか」と、そういうことができる。そういう役割を担っているのかなと思っています。

おじゃ馬します!

「機動力」が大井の武器ですね

赤見 :機動力が大きな武器ですね。

斉藤 :そうですね。お客様に常に新しいことを提示していくという意識、そして組織がコンパクトで動きやすいということ。この2つが、大井が今まで動いて来た理由だと思っています。

赤見 :競馬の組織って閉鎖された世界というイメージが強いので、常に新しい物を展開して行く精神を維持し続けるのが難しいように感じるんですが?

斉藤 :1つには、我々は公務員という立場ではありますが・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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