2013年08月17日(土) 12:00
「夏は牝馬」。よく言われる“競馬格言”ですね。うだるような暑さの中で行われた先週10日の新潟競馬は、それを裏付けるような結果となりました。
第2レースの2歳未勝利戦で牝馬が1〜3着を独占したほか、第8レースの3歳以上500万円条件戦では、出走15頭中ただ1頭の牝馬(9番人気)が逃げ切り勝ちを収めるなど、牡牝混合だった9レースのうち5レースで牝馬が勝利を挙げたのです。
そうそう、14日に盛岡で行われたクラスターカップも、牝馬のラブミーチャンがJRA勢を蹴散らして優勝しました。これも「夏は牝馬」の証明、なのかもしれません。
今年の新潟競馬は、去年までより2週遅く、7月最終週の27日から始まりました。新潟の梅雨が明けたのは8月3日。でもその日は曇りで、気温はあまり上がらず、少し肌寒かったのを覚えています。やっと夏らしくなったのは翌4日。で、先週は猛暑でした。つまり、先週までの新潟開催6日間のうち、8月3日までの3日間は涼しく、4日からの3日間は暑かったわけです。「夏は牝馬」という格言が正しいとすれば、8月3日までと4日以降とでは、レース結果に違いが出てくるはず。そこで、前3日間と後3日間の1〜3着馬について、その性別を調べてみました。
牡牝混合のレース数、牝馬が勝ったレース数、1〜3着牝馬独占回数、同牡馬独占回数 7月27日 9、3、1、3 28日 8、2、0、3 8月 3日 9、1、0、3 4日 9、3、1、2 10日 9、5、1、1 11日 9、3、0、3
いかがですか? 前3日間と後3日間の結果に大きな違いがある、と断言していいかどうか、何とも微妙なところですね。統計学的には「サンプル数が少なく、どれも誤差の範囲」なんて言われてしまいそうな数字。とはいえ、後3日間は牝馬が勝ったレースが連日3レース以上あります。さらに、ほんのわずかではありますが1〜3着を牝馬が独占したレースが増え、逆に牡馬が1〜3着を独占したレースは減っています。なので、ちょっと無理やりですが、ここでは「暑い時は牝馬のほうが若干有利」としておきましょう。
暑くなってからは牡馬が1〜3着を独占するレースが少なくなっている、というのを真に受ければ、たとえ牡馬を軸に連勝式馬券を買うときでも、相手には牝馬を押さえておいたほうがいいわけです。とくに、未勝利戦や古馬500万円以下のレースで牝馬の活躍が見られていますので、これは頭に入れておいたほうがいいような気がします。
まだまだ暑い日が続いています。しばらくは牝馬の台頭に注意しておきましょう。今後は、暑い中で好走した牡馬にその反動が出てくる可能性もあります。「夏は牝馬」の傾向がさらに強まるかもしれませんよ。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。