2013年09月18日(水) 18:00
もう一度だけ道東で開催されている草競馬について書く。去る9月14日と15日の2日間にわたり別海町で「産業祭協賛・馬事競技大会」なる草競馬が行われた。
数多くの露店が軒を並べている会場
産業祭会場の一角が良く整備された専用競馬場になっており、一周1000mのダートコースと内馬場に200mのばんえいコースが併設されている。
14日(土)は平地と繋駕の両方が1000mダートコースを使用して行われた。プログラムには全17レースが予定されており、ポニーからトロッター、ドサンコ、軽種馬まで約50頭が揃った。
本部となっているログハウス風の建物
二週間前の中標津は雨に祟られたが、ここ別海も当初の予報は雨であった。しかし、曇りから徐々に天候が回復し、第1レースが始まる午前10時過ぎあたりからは青空さえ出てきた。ただし台風18号の余波か、南風が強く吹いていた。
10時ちょうどに開会式が始まった。町を挙げてのイベントらしく、別海町長が来賓として登場し祝辞を述べる。背広姿の議員団も揃っている。その一方で、出走予定の人馬はこの時間帯になってもコース内で試走を繰り返している。
1Rのトロッター2歳速歩
2Rのポニーキャンター
第2レースは「ポニーキャンター」1000m。9頭立て。中標津同様、ここにも浦河ポニー乗馬スポーツ少年団の一行がはるばる遠征しており、9頭中7頭が浦河の子供たちだ。しかし、優勝したのは釧路市の田中愛吏さんとテレサ号であった。
第3レースは「トロッター速歩C」。ここには11頭が出走してきており、なかなか迫力のあるレースであった。速歩だから全速力で駈け抜けるわけではないものの、これだけの頭数になると見応えがある。騎手もまた老若男女さまざまで、若い女性もいれば熟年男性もいる。全員が道東の人々である。道東が草競馬のメッカと言われていることがよく分かる。
第4レースは「F1 キャンター」。距離2000m。F1(エフワン)とは、雑種第一代のことを指す遺伝学用語だが、馬の場合は、トロッターや乗用種と軽種(サラブレッドなど)の配合が多いらしい。ここには7頭が出走してきた。
概ねポニーとトロッター、F1が交互に出て来るプログラムになっていた。トロッターはA〜Cのランクに分けられており、午前に速歩、午後には繋駕に出て来る。これは中標津と同様である。
繋駕競走の熱戦風景
浦河ポニー少年団
また、14レースには「浦河ポニー少年団、ポニーキャンター」や16レースには「北太平洋シーサイドライン乗馬クラブ、F1キャンター」という、それぞれ特定の団体や乗馬クラブ限定レースが行われた。なお14レースでは落馬があり、騎手(浦河の子である)が救急車で運ばれるアクシデントも発生した。幸い、大事に至らずに終わったが、一時は黒山の人だかりができてちょっとした騒動であった。
圧巻だったのは最終17レースだ。これはオーラスの一番として「トロッター速歩、無差別ハンデ」という名称が付けられたレースで、この日集まったトロッターが全頭出て来るのである。エントリーは当初18頭いたが、直前になり1頭取り消して、それでも17頭立てという中央競馬並みの頭数が揃った。
大変な迫力だった「トロッター速歩、無差別ハンデ」
昼休みの1時間を挟み、午前8レース、午後9レースを消化して終了は午後2時50分。進行はとても早く、レース後に本部前で表彰式を済ませるとすぐに次のレースの出走馬が馬場入りしてくる感じだ。競馬を見ているとあっという間に時間が過ぎて行き、露店を見て歩く暇もないのだが、産業祭というだけあって、ここには蟹やチーズ、牛肉などの特産品を扱う店が軒を並べている。グルメの方にもお勧めの草競馬である。
例年9月中旬に開催されており、隣り合った町ながら、中標津とはまた違った魅力のある草競馬である。一度ぜひ足を運んで頂きたい観光ポイントだ。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。