2013年09月19日(木) 12:00
行動を起こすとき、慎重で周到な準備が必要なことはよく承知している。しかし、それより「やるぞ」という意気ごみの方が強く、準備がそれに追いつけない。さらに、その意気ごみは胸の内にしまって外に見せないのが穏やかと思っているから、外から見れば、まるで何もしていないのに等しい。なのに、「断固たる決意の前には鬼神も敵ではない、必ず成功する」と信じているのだから、複雑怪奇な人間だと思う。それだから「成功は決意に宿る」を実践する姿には心を奪われるのだ。オールカマーが地方競馬招待競走だった頃に、地方競馬大井から3年にわたってこのレースに挑戦したジョージモナークという芦毛馬がいた。
とにかく中央の初めての芝コースの平成2年は、行くだけ行かせてみたところ2・4着と大健闘してジャパンカップの地方代表馬に選ばれた。赤間清松調教師の中央突破の夢はふくらんで、それから4年にわたりジャパンカップに管理馬を出すことになったのだ。「やるぞ」の意気ごみを現実にしたのだった。
ジョージモナーク5歳のその年は、オールカマー2着、富士ステークス4着、そしてジャパンカップ15着だったが、平成3年は一段と鍛えられてたくましくなり、関東杯を目の覚める鮮やかな追い込みで重賞初制覇してオールカマーにのぞんでいた。ホワイトストーンを相手に堂々と3番手から直線抜け出し、実にタイレコードをマークして勝利し、1年前と同様に、富士ステークス3着からジャパンカップに出て15着と、ここでも壁にぶち当たっていた。7歳の年も新潟BSN杯2着からオールカマーは5着とチャレンジは僚馬ハシルショウグンにバトンタッチし、同馬が2年連続挑戦し、いずれもシンガリだった。しかし、最初の目標だったオールカマーをジョージモナークで達成したのだから、「成功は決意に宿る」を実現させた人馬には、頭が下がった。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
長岡一也「競馬白書」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。