2013年10月04日(金) 18:00
今週から始まったローカルの新潟は別に、中央場所の「東京、京都」では1日の半分近くのレースが2歳で占められるようになってきた。
2歳の重賞路線はここまで、函館2歳Sが牝馬クリスマス。新潟2歳Sが牝馬のハープスター。札幌2歳Sも牝馬のレッドリヴェール。そして小倉2歳Sもやっぱり牝馬のホウライアキコ。ことごとく牝馬が制してきた。
もうひとつ今年の2歳戦の特徴は、10月2日現在、2歳種牡馬ランキング(全日本)で新種牡馬ヨハネスブルグ(父ヘネシー。祖父ストームキャット)が、キャッチフレーズ通りの仕上がりの早さと、短距離向きのスピードを生かしトップに立っていること。全国でもう22頭が勝ち上がり、計24勝を記録している。
秋の中央開催が進み、このレースは距離1600m。楽々と2連勝で小倉2歳Sを勝ったホウライアキコが人気馬として出走してきた。同じヨハネスブルグ産駒のネロもいる。さらには、初年度の産駒が案外だったため人気急落のチチカステナンゴ産駒も(ここへきてどんどん評価を取り戻している)出走してきた。ここ3年ばかり、「ディープインパクト、ダイワメジャー、キングカメハメハ、クロフネ」の産駒ばかりが光っていた2歳戦が、ちょっと変化しているのである。
ヨハネスブルグ産駒の最大特徴は、最初に産駒の走りはじめたアメリカを中心に、オーストラリアでも、ヨーロッパでも、最初のうちにどんどん勝ち星を量産すること。少々タイプは異なるが、サウスヴィグラス(今年の全国の2歳戦でもう41勝)や、スウェプトオーヴァーボードと同じような種牡馬成績を挙げ始めたことである。
さらに、ホウライアキコも、ネロも、東京「9R」のタカラジャンヌもそうだが、芝で勝っている馬が予想以上に多く、また、たまたまこの3頭がそうだが、母の父に「サンデーサイレンス」を持つ馬の成績が目立っていいのである。ストームキャット牝馬にディープインパクトの配合は、凱旋門賞のキズナを筆頭にすっかり有名になった――ストームキャットは今年、日本のブルードメアサイアー成績でなんと赤丸急上昇の3位に顔を出している――けれど、サンデーサイレンスの牝馬(アグネスタキオンなど直仔も含む)にストームキャット系種牡馬ヨハネスブルグの逆パターンも、大変な好成績なのである。
すると、たしかにヨハネスブルグ産駒は仕上がりの早さを発揮してはいるが、海外の早熟型産駒と少し異なり、天才サンデーの血を味方に、日本のヨハネスブルグ産駒は侮りがたい成長力や、幅広い距離適性をみせる馬がいるのではないか。そういう楽しみがある。
もっとも、2歳種牡馬ランキングは、過去3年と同じように、最終的にはやっぱりディープインパクトが首位で終了する可能性が高い。ここはこの中間素晴らしい動きをみせ、追い出すと鋭さ満点に重心が沈むアトム(父ディープインパクト)が中心だろう。
ヨハネスブルグ産駒にも、チチカステナンゴ産駒にも肩入れしたいが、馬券はそういうものでもない。アトムの相手本線が、ホウライアキコと、ライザン。そして、モズハツコイ、ネロ、ピークトラム、アグネスドリームまで。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。