若いインパルスヒーローの可能性に期待/富士S

2013年10月18日(金) 18:00


◆緩い流れの軽いレースになる傾向が

 11月17日の「マイルチャンピオンS」を展望するグループのレース。マイルチャンピオンSには、秋の天皇賞組のほか、スプリンターズS(スワンS)組なども参戦してくるから、本来なら主力であっても不思議ないこの富士S組は、この10年間にたった「3頭」のマイルチャンピオンS連対馬しか送れないでいる。

 なぜか、緩い流れの軽いレースになることが多過ぎる。そこで、ここで好走してもマイルチャンピオンSのGIのペースに対応できない馬が多くなる。先週の「府中牝馬S」1800mでの前半1000m通過は、目を疑う63秒8。ほんの少し前半の位置関係が変化しただけの「出たなり」のレースが展開されたばかり。ここもスローになる可能性が高いから、よほど中身のあるレースを繰り広げないと、傾向通り、マイルチャンピオンSの有力馬として評価を受ける馬は少ないかもしれない。

 今年の3歳世代は、上位グループに離脱した馬が多く、さまざま路線で4歳以上馬に手玉に取られるケースが目立っている。3歳世代のレベルが低いというのではなく、4歳、5歳、6歳世代の層が厚すぎて、なかなか3歳馬の入り込む余地がないのが現状だが、上昇しか見えていないはずの若い3歳世代に、イキのいいレースを展開して欲しい。

◆願ってもない枠をひいたインパルスヒーロー

 先週の府中牝馬Sのスイートサルサ(7番人気)で惜しい3着。ここまでクラシックは【1-2-0-54】。正直、めったに台頭することはないが、日曜日の菊花賞には少々脈ありのダービーフィズで出走する田中勝春騎手の、3歳インパルスヒーロー(父クロフネ)から入りたい。珍しくいつもより気合が入っている。

 新馬1600mを1分35秒9で2着だったインパルスヒーローは、そのあと1400mを1分22秒台のやや平凡な時計で3連勝すると、一気に相手強化のNHKマイルCを、1分32秒7であと一歩の2着に突っ込んでみせた(6番人気)。レース全体のバランスは「46秒1-46秒6」=1分32秒7だから、巧みに後方から追い上げ、上がり33秒9でクビ差同タイムの2着した同馬は、展開に恵まれての台頭ではない。

 マイルの持ちタイムは1分35秒9にとどまり、3戦した1400mの最高タイムも1分22秒2にすぎなかったキャリア4戦の馬が、いきなり1分32秒7。まぐれでは乗り切れない東京1600mのGIを快走したのである。

 母クラシカルテースト(父サンデーサイレンス)は、近年を代表する圧倒的なスピード馬であると同時に、名種牡馬だったサクラバクシンオー(父サクラユタカオー)といとこ同士。バックボーンは申し分ない。

 前回の中山1600mは休み明けの体調もあるが、右回りは合わない印象があった。NHKマイルCでは、17番枠から最後はいつのまにかインに突っ込んで伸びた。今回引いたのは2番枠。仮に回りが関係するなら願ってもない絶好の枠順である。

 マイルでは凡走なしの4歳サンレイレイザー、リスポリ騎手を配してきたリルダヴァル、同じ3歳の成長株レッドアリオン。この3頭が相手本線。ダノンシャーク、エーシンミズーリ、ブレイズアトレイルに流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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