道営ホッカイドウ競馬、今週で開催終了

2013年11月13日(水) 18:00

 去る4月24日に開幕した道営ホッカイドウ競馬も、いよいよ残すところ今週のみとなった。折から北海道はこのところかなりの低温続きで、日高は雪こそほとんどないものの、とにかく寒い。気候的にもこのあたりが開催の限界かも知れない。まして午後から夜間にかけてのナイター競馬。日が落ちると寒さがいっそう増す。今週は今のところ木曜日のオーラスまで天候の崩れはなさそうなので、何とかこのまま無事に終わってほしい。

悪天候ながら多くのファンが詰めかけた<

悪天候ながら多くのファンが詰めかけた

 先週木曜日(7日)には「北海道2歳優駿」が行われた。強い南風の影響で、雨に祟られ、時折雷も光る条件ながら、門別には多くのファンが詰めかけた。今年度最後の交流重賞でもあり、武豊や福永祐一、横山典弘、三浦皇成といった人気騎手が顔を揃えたことや、11月にしては異例ともいうべき気温の高さ(夜間でも12〜13度あった)によって、人が大勢集まった。

 このレース、ダントツの一番人気に押されたのは道営所属のハッピースプリント。父アッミラーレ、母マーゴーンという血統の牡馬で、5月に門別でデビュー勝ちした後、函館に遠征(函館2歳S、コスモス賞)したものの、芝コースでそれぞれ5着に敗れていた。

 しかし、再び門別に戻ってからは、前走のサンライズカップ(10月15日)を順当に勝ち、この北海道2歳優駿に照準を合わせてきた。

 中央から参戦した10番スマートダイバー(武豊騎乗)や1番アースコネクター(横山典弘騎乗)が10倍を切る人気で続いたが、ハッピースプリントは1.5倍と断然の支持率で、ここでは力量上位の評価であった。

 レースはアースコネクターが逃げ、スタンドアウトとサーモビレーの道営勢がそれに絡む展開で進んだが、4コーナーを回ったところでハッピースプリントの末脚が爆発し、2馬身の差をつけて難なく1着でゴールインした。終始外目を回りながらも、余裕の勝利であった。

 この北海道2歳優駿は、層の厚いホッカイドウ競馬所属馬が過去にも中央遠征馬と互角の勝負を演じてきており、ダートグレード競走となった1997年以降、中央8勝に対し道営9勝と地元勢の健闘が目立つ。今回もまた、圧倒的な人気を集めたハッピースプリントが順当に優勝し、他の道営勢も、エイシンホクトセイ(3着)、ニシノデンジャラス(4着)が掲示板に載った。

優勝はハッピースプリント

ハッピースプリントの末脚が爆発し1着でゴールイン

北海道2歳優駿の口取り風景

多くの辻牧場のスタッフが駆けつけた当日

 ハッピースプリントの馬主兼生産者は浦河の(有)辻牧場。そのため、多くの牧場スタッフが門別に駆けつけて応援しており、レース後の口取りは、異例の2度に分割して撮影する大変な大人数に膨れ上がった。このあたりはいかにも産地競馬らしい光景だ。

 さて、今年のホッカイドウ競馬は、売り上げが順調に推移しており、今週の3日間を残した時点で、計134億円余を売り上げているという。今季の発売目標額127億円はすでにクリアしており、残り3日間でどこまで数字を上乗せできるかが鍵である。

 何とか140億円には到達できるものと思われるが、昨年は約120億円の売り上げにとどまっていたことから見ると20億円超の増加となりそうで、それを支えたのが好調なインターネットと電話による投票である。本場と道内の各場外施設が苦戦する中、昨年秋より新たに中央競馬IPAT(道営の場合は即PAT)による売り上げが加わったことが大きい。

 とりわけ、平日ナイターで競合する南関東の大井と川崎以外の、浦和と船橋の開催日となると道営の存在感がより大きくなるようで、これまで秋風が吹き出す10月から11月にかけては、重賞でもない限り売り上げが低迷していたのが、今年は明らかに増えていることが分かる。仕事を終えたPAT会員が、自宅で道営競馬を観戦しながら投票する例が少なくないのだろうと思われる。大井と川崎開催日でも一定の上積みがあり、こと道営に関してはかなりの効果があったようだ。

 明日また門別の最終日に出かける予定でいる。リーディングジョッキーとトレーナー争いも熾烈になっており、最終日まで目が離せない。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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