決意が伝わるためらいのない行動

2013年11月28日(木) 12:00


◆ランフランコ・デットーリに見る「断固たる決意」

 鮮やかな手綱さばき、そこには、ためらいやこだわりがない。断じて敢行する、そんな断固たる決意が伝わってくる。

 何かをやろうとするときの意気ごみ、そこには、小さなことにこだわったり、細かなことを気にしてぐずぐずするような素振りはないものだが、そうきっぱりと行動に移せないときが多い。やるぞと気合を入れ、それを心のなかにしまって他人に見せないようにする、そんなところではないか。

 だからではないが、国際招待競走で外国人騎手が演じるプレイに新鮮な驚きを覚えることが多い。特に、日本馬に騎乗したときに、その馬の新たな面が引き出されてびっくりさせられる。こういうレースの魅力はそういうところにもあるのだと思う。

「成功は決意に宿る」をジャパンカップダートの歴史に見るとすれば、唯一中山競馬場の1800mで行なわれた第三回のこのレースが思い出される。主役は、ランフランコ・デットーリ騎手。ジャパンカップは3勝しているが、最初にシングスピールで勝ったとき、馬の背で立ち上がりそこから飛び降りるデットーリジャンプ(フライングディスマウント)をしてスタンドを驚かせた。

 ジャパンカップダートでは、日本馬イーグルカフェの手綱を取ったが、どんなレースでも後方から直線だけで追い込むばかりで勝ち味の遅いこの馬では、コーナーがきつく直線の短かい中山ではどう考えても苦しいというのが一般的な見方だった。しかも、ダートは8戦して未勝利。ところが、できるだけ前につけたいと思っていたデットーリは、中団に構えていた。しかも武豊のゴールドアリュールが動いたときに出て行こうと考え、4角で相手が動くと瞬時に内をついてスパート、一気に抜け出して後続の追撃を振り切って優勝していたのだった。

 断固たる決意に裏打ちされた小気味よい手綱さばき、3歳時芝のGINHKマイルカップを勝っていたイーグルカフェが約2年半ぶりのダートのGI制覇で蘇ったのだった。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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