伏兵ビップレボルシオンから流す/ラジオNIKKEI杯2歳S

2013年12月20日(金) 18:00


◆未来の展望ある2歳牡馬が揃った一戦

 昨2012年の勝ち馬はエピファネイア、3着がキズナ。11年の2着馬ゴールドシップと、10年の勝ち馬ダノンバラードは有馬記念に出走している。09年の勝ち馬はヴィクトワールピサ、08年はロジユニヴァース。00年には、「アグネスタキオン、ジャングルポケット、クロフネ」の上位独占もあった。

 1991年から阪神の2000mとなった「クラシック路線のベース」となるこのレースは、来年から中山2000mの「ホープフルS」と変わり、やがてはGIになるだろうとされる。中山2000mは皐月賞の距離.コースである。「阪神JFと桜花賞」の関係と同じように、現在以上のクラシックの先駆け重賞となることになる。

 阪神で行われる最終回にふさわしく、大きな未来展望につつまれる2歳牡馬がそろった。この世代、牝馬に押されてきたが、遅れて登場の牡馬陣の評価も一気に上がると思える。

◆デビュー戦が好内容のビップレボルシオンに期待

 人気はないが、ビップレボルシオン(父マンハッタンカフェ)に期待したい。

 デビュー戦は、不器用な一面がありそうなので東京の芝1800mに出走。調教でもそう動いていなかったから、4番人気にとどまった。前半はゆっくり構え、最後の直線だけスパート作戦も必勝の注目馬のレース運びではないように映った。

 前半1000m通過「61秒6」は、東京1800mの新馬とするとそんなにスローでもない。だから、後半「47秒1-34秒6-11秒8」の決着。軽いレースではなかった。これを最後方近くから大外に出して差し切り、上がり33秒7で3馬身差の圧勝は期待を大きく上回る文句なしの好内容である。切れのいいフットワークが印象的だった。

 ひと息入れたあと、この中間の動きはデビュー前とは一変している。1週前にCWでビシッと追ったあと、今週の坂路52秒4-12秒6には余裕があった。もう不器用な印象も、全体に緩い馬体でもない。大きく成長すると思える。

 母メジロジョーンズ(その父メジロライアン)は、4年も連続してJRA賞に輝いた女傑メジロドーベルの全妹。ドーベルの産駒はもう一歩にとどまるが、姉妹から期待以上の逸材が出現するのは良くあること。メジロラモーヌがそうだった。

 とにかく素質馬ぞろい。前回は実戦になるとスケールを生かせず、体を使いきれずに妙にストライドが小さくなった気がするサトノアラジン(父ディープインパクト)も、今度はそんなことはないだろうし、ディープインパクトの9歳下になる4分の3弟のモンドシャルナ(父ネオユニヴァース)も、全然ひよわい印象がない。  外国産馬シンガンは、ジャパンCに2回もきたジョシュアツリーの半弟で、父インヴィンシブルスピリットも、母の父グランドロッジも、ともに大種牡馬ダンチヒの孫世代という凝った配合。ミヤビジャスパーは、今週は高揚している池添騎手が乗る。C.ウィリアムズ騎手を配してきたデリッツァリモーネも、松山騎手のアズマシャトルも侮れない。  特に怖いのは、BCクラシック、ドバイWCなどのカーリン(その父スマートストライク)産駒の外国産馬セセリ。同馬はダートではなく、芝で快勝している。先週のアジアエクスプレス級の大物に育ちそうである。

 きわめて相手は強いが、デビュー前の評価以上の素質を秘めるとみて、ビップレボルシオン(後藤騎手)から手広く流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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