2014年01月09日(木) 12:00
◆夢をもとめることに幸せがある
人と人との出会いが楽しめる競馬は、みんなが同じ方向を見ている仲間の存在がうれしい。その先にあるのが夢だが、言ってみればこれは一時の迷いみたいなものだ。どう迷いを断ち切って前に進むか、競馬はこれが肝心と言ってもいい。レースでは、その前進する姿を見せてくれる。ひ弱さがあってクラシックには乗れず、一年以上もその克服に費やしてきたエキストラエンドが、リフレッシュを経て初めてのマイル戦に切り換えて出走した京都金杯で勝利した。
新しい路線を見つけられ、見事に迷いを断ってくれた。有馬記念2着の実績がありながら、それ以来、どうもレースで真剣味に欠けていたオーシャンブルーは、初めてブリンカーをつけて馬群の中で折り合い中山金杯を勝った。迷いを断ち切る決断をどう下したか、そこに知恵の存在を見ることが出来た。この次に、この2頭がどんな走りを見せてくれるか。
夢と言えば、明け3歳馬にとってはオークス、ダービーなどクラシックレースがその最たるもの。生涯に一度の桧舞台をめざす各陣営にとり、これからが正念場。その昔、シンボリルドルフで知られた野平祐二調教師は、レース選びは知恵くらべと述べておられた。どのレースが当方には有利かとか、相手陣営の動向にも神経を使い、少しでも夢の実現にと腐心する。もちろんこの場合、運も大きな役割を果たす。早々とクラシック出走を確定づけたものには余裕があるが、大半はこれからだ。
重賞競走でステップアップしておこうと先を見る中で、シンザン記念の位置は微妙だ。創設以来クラシック競走の優勝馬を出せずにいたのが、第36回の一着馬タニノエギムレットが後にダービーを勝ち、創設36年目にして初めてクラシック馬が現れたのだ。その後、オルフェーヴルはここで2着して大出世したし、ジェンティルドンナは第46回の優勝馬でもある。夢を抱かずして競馬は存在し得ない。夢をもとめることに幸せがあるとも言える。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
長岡一也「競馬白書」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。