2014年01月17日(金) 18:00 16
◆堂々の年度代表馬、ハッピースプリント
NARグランプリ2013の表彰馬・表彰者が14日に発表された。
年度代表馬は北海道のハッピースプリントで、09年ラブミーチャン以来の2歳馬による受賞となった。JpnIの全日本2歳優駿を制してのものだが、それにしても昨年は地方馬がグレードレースを制するというシーンが少なく、12月になってようやくJpnI勝ち馬が出てホッとしたというのが正直なところ。
NARグランプリの表彰馬は、まずグレードレースでの結果が重要視される。中央と地方の交流が進んだ95年以降では、96年にアラブのケイエスヨシゼンが年度代表馬に選出されたのを除けば、年度代表馬はいずれもGII/JpnII以上のタイトルがあった。もしハッピースプリントがいなければ(もしくは全日本2歳優駿を勝たなければ)、JpnIIIを2勝したラブミーチャンが年度代表馬となる可能性が高かった。そういう意味でハッピースプリントは、全日本2歳優駿での強い勝ち方も含め、堂々の年度代表馬といっていいだろう。
昨年末のこのコラムでも触れたとおり、ハッピースプリントはドバイ遠征を断念し、大井の森下淳平厩舎に移籍。3月12日の京浜盃から始動予定とのことで、羽田盃、東京ダービーが目標になるようだ。
そのほか、ラブミーチャンは、3年連続で4歳以上歳優駿牝馬に、2年連続で最優秀短距離馬に選出。昨年後半、脚部不安が癒えないまま引退したのは残念だったが、この年の6戦5勝という成績は6歳にしての見事な輝きだった。
低調だったのは3歳馬。牡馬では、東京ダービー制覇とJpnIのジャパンダートダービーでの地方馬最先着でインサイドザパークが選ばれたが、勝ち星は東京ダービーのみという成績。牝馬はピッチシフターで、JBCレディスクラシックJpnIで地方馬唯一の掲示板(5着)が決め手となってというもの。ただピッチシフターに関しては、2歳時にはエーデルワイス賞JpnIIIで2着があり、普通なら南関東あたりに移籍するべき実力だが、名古屋に移籍したことで地方重賞3勝という結果を残し、さらにはNARグランプリも受賞することになった。名古屋移籍という選択は、オーナーブリーダーであるグランド牧場の見事な判断だった。
特別表彰馬には、フジノウェーブとブライアンズタイムが選出。ブライアンズタイムは、中央の芝でも多くの活躍馬を出したが、地方でもトーホウエンペラーが2度、そしてフリオーソが4度、年度代表馬となった。また地方のダートグレードで活躍したことでタイムパラドックスが05年に特別表彰馬に選出されている。トーホウエンペラーが最初に年度代表馬となったのが2001年で、フリオーソが最後に年度代表馬になったのが2011年。21世紀になっての地方競馬は、もしブライアンズタイムがいなければまったく違うものになっていたかもしれない。
表彰者については次週に。
斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。