珍しい状態にある中山の芝コース/ニューイヤーS

2014年01月17日(金) 18:00


◆現在の中山は外枠の評価を下げずに

 先週の中山の「芝コース」では、珍しい記録が続出した。昨年末の有馬記念が行われたAコースから一転、内ラチから6mの地点に移動柵を設置したのがこの開催のCコースだが、むやみに速いタイムを求める芝の整備方法が見直されたところに、天候の関係もあって芝の成育状況が思わしくないことが重なって、内よりの芝がちょっとボコボコした状態になり(変に押圧して固めることを止めている)、外枠の馬が大活躍したのである。

 15着まで0秒9差だったフェアリーSは、最初から馬群の外に出した7番オメガハートロックと、外を回るしかなかった15番ニシノアカツキの1-2着。

 スタンドからも、記者席からも驚きの声が上がったのは、11日(土)の芝1600mの3歳未勝利戦。16頭立て。人気薄の伏兵が台頭した大波乱の主役をつとめた3頭は、「14番、15番、16番…」

 他のコースなら珍しくもないが、中山の芝1600mで、どう見ても不利な大外枠の3頭が1着から3着独占は、だれに聞いても、まったく「記憶にありません」。

 おそらく何十年ぶりかの記録と思われる。先週の中山では芝のレースが計12R行われている。距離を問わず、連対した24頭の馬番は、「内枠の1-5番…5頭、中枠の6-10番…5頭、外枠の11-16番…14頭」だった。

 内枠同士の決着は1回もない。その逆に、「2ケタ馬番」の馬が連対しなかったレースは、12レース中たった1鞍だけだった。

 JRAホームページの馬場情報発表は金曜の夕方だが、まさか「今週は一転、内枠の馬有利」に転じるような異例の芝整備、調整はないと思われる。ファンに「たばかったな」などと思われる整備はないと信じ、ニューイヤーSは外枠を引いてしまった馬の評価を下げないで検討したい。

◆時計のかかる芝は歓迎

 4歳ゴットフリート(父ローエングリン)は、ちょっとムラな成績だが、朝日杯FSを1分33秒8でロゴタイプの3着。3走前の京成杯AHが、1分32秒4でエクセラントカーヴの3着。中山1600mは合っている。やや詰めの甘い死角はあるものの、並ぶ形では勝負強く、現在の時計のかかるコンディションは歓迎に近いタイプだろう。

 調教の動きはとくに目立つものではなかったが、3走前の京成杯AHでは本調子にないのではないかと思われる動き(だから7番人気)で好走したくらいだから心配ない。田辺騎手とのコンビは【1-0-1-2】。ときに行きたがる気性も分かっている。ふつうなら有利ではない7枠13番も、現在の中山だからマイナスはひとつもない。

 同じ4歳馬で、中山1600mのニュージーランドTを2着しているレッドアリオン(父アグネスタキオン)と、同じアグネスタキオン産駒で母の父ブライアンズタイム、いかにも中山が合いそうなセイルラージが強敵。セイルラージは最内枠だが、中山だと8割方インから突っ込んでくるイメージの北村宏司騎手には1番は好枠である。  同様にイン強襲と考えられるレオアクティブと、絶好の動きをみせた戸崎騎手のキングレオポルドがその次。すんなり行けそうなタイキパーシヴァル、大外16番だからこそ意外性を発揮しそうなダノンプログラマーを押さえたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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