週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2003年09月30日(火) 10:33 0

 今週日曜日(10月5日)にロンシャン競馬場で行われる欧州2400m路線の総決算「凱旋門賞」は、3歳馬ダラカニを中心に展開するレースと言われている。殊に地元フランスでは、一介の一流馬ではなく、スーパースター候補生との扱いを受けているから、当日は結構被った1番人気になる可能性もあるだろう。

 だが私は、ダラカニの強さを認めながらも、一筋縄では行かないレースと見ている。

 今季ここまで欧州で行われた10Fから12Fのレースを振り返ると、レベルの高さという点では、1に愛チャンピオンSで、2にプリンスオヴウェールズS、3に横並びでキングジョージとインターナショナルSであったと思う。殊に愛チャンピオンSは、超一流馬が結集した上に、道中のペースに一分の隙もなく、言い換えるなら、最後方を進んだイズリングトンでさえアクセルを踏みっぱなしというきつい流れになり、そんな死闘がゴール前まで続くという過酷な戦いになった。あの競馬で上位に来た馬たち、すなわち、勝馬ハイチャパラルを筆頭に、僅差で続いたファルブラヴ、イズリングトン、アラムシャーの4頭は、相当な力量の持ち主であると思う。同様にして、上記した残りの3レースの上位馬たちの能力も、信頼に足るものと見て良かろう。

 そうなると、凱旋門賞に関して言えば、体調さえ問題が無ければ、ハイチャパラルの力を最上位と見るべきではないだろうか。

 一方で、伏兵の存在も多彩である。まずは、キャリア5戦目のニエユ賞でダラカニに食い下がったドワイヤン。父サドラーズウェルズ、母が仏オークス2着馬ムーンカクタスという良血だけに、上昇し始めると頂点まで突き抜けても不思議ではない。同じ3歳勢には、地元ドイツを完全に制圧した感のあるダイジンもいる。鞍上が、父パントルセレブルが制した凱旋門賞でも手綱をとっていた、オリヴィエ・ペリエというのも心強い。

 古馬には、今季3戦3勝という6歳馬マブテイカーがいる。5歳8月に重賞初制覇という遅咲きの大器で、まだ本当に強い相手とはぶつかっていないが、2走前のG2ジェフリーフリアSで、その後バーデン大賞を勝つことになるマムールにトンコロを食らわしているから、周囲が思っている以上に力を付けている可能性がある。

 この相手にダラカニが完勝すれば、素直に脱帽だ。いずれにしても、多士済々の見応えある凱旋門賞になりそうだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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