名前とはうらはらの冬馬/京都牝馬S

2014年01月24日(金) 18:00


◆ドナウブルーの評価は下げる必要はない

 昨2013年の春シーズンには、交配数が「150頭」を上回った人気種牡馬の総数が20頭を超えていた。必然的に種付け期間を長くしないと、希望に応えられない。

 すると、以前にはめったにいなかった1月生まれの産駒が増える。雪の北海道はもう出産シーズンに突入している。続いて、たちまち繁殖シーズンに突入する。人気の6歳馬ドナウブルー(父ディープインパクト)はここが引退レースになる。

 思いつくところだけで、08年アドマイヤキッス(5歳)、02年ビハインドザマスク(6歳)、98年にはブエナビスタなどの母ビワハイジ(5歳)、95年システィーナ(6歳)、93年ヌエボトウショウ(6歳)などが、結果として…のケースを含み、引退レースとなったこの1月の京都牝馬S(特別)を見事に勝っている。衰えたから引退するわけでもないから、5歳ジェンティルドンナの全姉ドナウブルーの評価を下げる必要はない。

 牝馬の消長はたしかに激しいことが珍しくない。金言のひとつは、「くすぶっている牝馬には、けっして手を出すな」ではあるが、それを承知で、スジ悪も承知で、5歳ミッドサマーフェアを狙いたい。

◆本質がマイラーの可能性

 この牝馬、ドナウブルーの全妹になる3冠牝馬ジェンティルドンナを差し置いて、2012年のオークスで1番人気に支持された馬である。フローラS2000mの勝ち方があまりに鮮やかだったのと、あの当時、ジェンティルドンナが2400mなどまったく平気で、のちにジャパンCまで2連勝してみせる希代の名牝とは思われていなかったからでもある。オークスを13着に惨敗したミッドサマーフェアはあれから11連敗中。

 狙う根拠は、12月のターコイズS1600mを今年も自己最高タイの1分33秒7で乗り切り、メンバー中NO.1の末脚で0秒1差に突っ込んだように、確かにくすぶってはいるが、別に終わっているわけではないこと。冬から春にかけてのシーズンになると体調が上がるフシがあり、これは1月のシンザン記念で頭角を現し、ぽんぽんと春に出世した父タニノギムレットに非常に良く似ていること。名前とはまったく逆に、冬型がミッドサマーフェアの特徴ではないか。父タニノギムレットは日本ダービーを制したが、長丁場はそれくらいで、1600m【3-0-1-0】だった。

 輸入馬の母は未勝利だが、その母ストームソングの制した米GI2勝はともに秋シーズン後半の8.5ハロンであり、この牝馬、オークス1番人気は間違いで、父母両系から本質はマイラーの可能性がきわめて高いこと。

 ブライアンズタイム系の高い平坦適性はつとに知られるが、アメリカ血統の母方もまた芝なら平坦歓迎は間違いなく、札幌のクイーンSを小差3着している。とすると、高いマイル適性を生かすには、直線平坦の京都の1600mこそ最高のコースではないか。

 遠征は慣れているから平気。賭け率もおそらくふさわしいオッズが予測される。軽量54キロを生かしての復活、逆転快走に期待したい。

 追い込み一手だが、京都2戦2勝のゴールデンナンバーと、56キロはちょっと心配でもまずバテないと思える先行型のドナウブルー、好調の4歳馬ウリウリが相手本線。  若い馬有利は知られるが、ここでも傾向と対策に少しさからって、いま本格化しつつある6歳ノーブルジュエリー(ルメール騎手)、7歳だがやけに現在のデキが目立つコスモネモシン、まだ未勝利だが、こういう気難しいタイプと気が合いそうなギュイヨンのアドマイヤセプターに流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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