自分から動いて差し切った内容は評価できる/AJCC

2014年01月27日(月) 18:00


◆有馬記念の有力馬はオルフェーヴルを前に「金縛り」にあっていた

 GIIの別定戦2200m。春のビッグレースシーズンに向けた新勢力の台頭が期待された。

 今年の期待度を加味され、1番人気は4歳牡馬レッドレイヴン。同じ4歳のケイアイチョウサンが3番人気の支持を受けることになった。  接戦を切り抜けたのは、天皇賞(秋)6着、有馬記念10着。トップクラスとの対戦ではちょっと迫力負け。総合力一歩の印象も否めなかった、明けて6歳のヴェルデグリーン(父ジャングルポケット)だった。ちょうど4カ月前の同じ中山2200mのGII「オールカマー」を制したごく最近の上がり馬であり、同世代のダノンバラードなどと比べると同じ6歳馬とはいえ、ヴェルデグリーンは年齢よりはるかに若いグループに属している。

 したがって、ベテランが若い4-5歳馬の台頭をそう簡単には許さず、貫禄勝ちという印象ではなかった。また、このヴェルデグリーンがレースに参加させてもらえなかった有馬記念は、やっぱりときどき不思議なレースであり、今回のレースこそふつうのGIIだった印象もある。

今回の2200mのレースの中身は、
「前半1000m61秒1-(12秒3)-後半1000m60秒6」
ハロン平均「12秒18」

有馬記念2500mは、
「前半1000m60秒7-(30秒8)-後半1000m60秒8」
ハロン平均「12秒18」

だった。ともにさして馬場差のない良馬場。

 アメリカJCCと、有馬記念の距離は300m異なり、たしかに馬場コンディションも微妙に異なるが、レース全体のバランスは同じ中山コースの中・長距離戦とあってきわめて似ている。実質の走破タイムも300m差を考慮しても大差ないランクである。

 有馬記念は、3コーナー過ぎから一気にスパートして独走に持ち込んだオルフェーヴルの前に、ヴェルデグリーンはもちろん、2着ウインバリアシオンも、3着ゴールドシップも度肝を抜かれた形になり、実際には持てる実力の7割くらいしか力を発揮できずに終わったのではないか、とする見方ができる。

 かつて、まるでレベルの異なる下級条件戦より遅い勝ち時計だったから、「オグリキャップ」以外は本当に力を出し切れたのかどうか、今でも不思議が残る1990年のグランプリのように、こと有馬記念では・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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