評判馬ダイシンサンダー新馬取り消しの真相/吉田竜作マル秘週報

2014年02月05日(水) 18:00


◆キュウ舎関係者のサラブレッドに対する愛情が垣間見えた瞬間

 先日、野中キュウ舎に取材に行くと、ちょうどトウカイトリックの手入れの真っ最中。担当の大平助手のブラッシングに、くすぐったそうに身もだえるあたり、12歳の今でもかなり皮膚は薄い。人も馬も年を重ねると皮膚が厚ぼったくなるというが、このあたりがこの馬の若さの証明か。

 さらに驚かされたのは大平助手の手が胸前のあたりに差し掛かった時。普段もちょっかいを出す程度のいたずらはするのだが、基本的に大平助手に危害を加えようという感じはない。しかし、この時は近づく手をかみにいこうとしたのだ。大平助手に「珍しいですね」と振ると、「こいつ、ここが弱点なんよ」。

「2歳の時にな。診療所でうるさいもんだから、注射のたびにハナネジをされてたんだけど、その時に注射を打たれた場所がここなんだ。それから10年もたつのに忘れないんだよな。もう、ずっとこんな感じ。触ると分かっていれば触らせてくれるが、不意に手を近づけようものなら本気で嫌がる。人間なんて10年も前のことなら忘れてしまうが、こいつらは嫌なことは忘れないんだよなあ」

 サラブレッドという生き物は「嫌なこと」を忘れない。だからこそ、ゲートという最もストレスのかかるテストには陣営も細心の注意を払っている。そうした「心配り」が“事故による”という説明にすりかわってしまったのが、先月26日の京都6R3歳新馬戦(芝外1800メートル)を取り消したダイシンサンダー(牡=父アドマイヤムーン、母イチゴイチエ・松田博)の事例だ。

 新馬戦に出馬投票したくらいだから、もちろんゲート試験自体は突破していた。ただ1度目の試験で・・・

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