厩舎解散前にアガスティアでもうひと花!

2014年02月06日(木) 18:00


◆新たなハードルの前に立たされたメルシーエイタイムの回復を信じて

 栗東トレセンの診療所に入院中のメルシーエイタイムはいま、分岐点に立っています。実は左後肢のヒザの骨折を痛がるのか、4つの脚に体重をかけて歩きにくい状況なのです。担当の北尾助手いわく「歩行練習をさせたいが、左後脚を浮かせて3本で立っている状態」とのこと。あまり積極的に動かせる状況ではないようです。あとからわかった左トモの骨折は、縦に3センチの亀裂が確認できるほどのもの。治療を進めるにつれ、他の痛い場所を自覚するようになったのか、とにかく力をかけにくい状況とのことでした。

「ヒザを手術すると、最初に手術した部分にも負荷がかかる。このままの状態で両方が自然治癒してくれれば一番いいのですが…」(北尾助手)

 一般論ですが、馬が動けない状況が続くのはよくありません。疝痛を起こす馬もいます。重心が偏った状態が続くと蹄葉炎を起こすなど他の病気を発症しかねません。

「痛みどめを増やして、全体が落ち着くのを願います。」(北尾助手)

 手術、輸送などをクリアしたメルシーエイタイムですが、また新たなハードルの前に立たされています。でも、きっと彼ならきれいなジャンプで飛び越えられる。そう信じて時が経つのを待ちましょう。

◆清水出美厩舎からデビューの注目馬・アガスティア

 2月になりました。毎年、2月末日をもっていくつかの厩舎が解散します。今年、栗東では結構な数の厩舎が解散しますね。その中でも清水出美厩舎は思い入れのある厩舎なのでとても残念です。

 清水出美厩舎は、わたしが競馬ライターを始めたころからのお付き合い。尾花栗毛が美しかったゴールドシチー、長距離路線で活躍したエリモブライアン、豪州遠征が懐かしいアイポッパーなどの活躍馬がいました。

 はじめがあれば、かならず終わりがある。厩舎の解散は仕方のないことですが、昔ながらの風情のある厩舎がなくなってしまうのはさみしいなぁ。今でも寝ワラを使っていて、晴れた日にはハナ前が干した寝ワラでいっぱいになる…。こんな光景が見れるのは、あとわずか。残り少ない時間を、大切に満喫したいじゃありませんか。

トレセン密着

干した寝ワラでいっぱいの風景

 そんな中、解散まぎわにもかかわらず面白そうな馬がデビューします。その名はアガスティア。父がマンハッタンカフェ、母がマンティスハント(母の父Deputy Minister)という血統。追分ファームの出身で馬体はピッカピカの黒鹿毛、背が高いけれど幅は薄めの体。馬体重は530キロだそうです。

トレセン密着

アガスティア

 見ていてすごく大人しい。担当しているのは昔アイポッパーを担当していた土屋助手です。血統は全然違いますが、このおおらかさ、大人しさは武豊さんに「自転車のように乗りやすい」と言われたアイポッパーを彷彿させます。

ゲートもよし。「最初のころはズブいところがあったけれど、毎週、追い切るたびに素軽くなりよくなっている」(土屋助手)とのこと。センスのよさがうかがえますね。

 8日の京都・芝2000m戦、和田騎手でデビューします。その和田騎手、3週連続で追い切りにまたがっていますが、ここまで稽古でも乗り続けてくれているあたり、期待の高さを感じずにいられません。

トレセン密着

アガスティアは和田騎手でデビュー

 厩舎は解散しますが、最後にアガスティアでもうひと花、咲かせて欲しいものです。

 シゲルスダチは予定どおり、山城Sに出走します。こちらも鞍上は和田騎手。休み明けですが、体調はホントいいですからね!得意の芝1200m戦。いきなりですが、結果を期待しちゃいます。頑張れ、スダチ!

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シゲルスダチ

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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