2014年02月07日(金) 18:00 32
◆層の厚いダート馬に対して番組やしくみが追いついていない現状
先週の根岸Sの登録馬49頭には驚いた。出走馬決定順の上位馬に回避はなく、重賞勝ちのあるベストウォーリアやバーディバーディが除外。勝ったのはギリギリ16番目で出走できたゴールスキーだった。
そして今週土曜日に行われる、すばるSの登録馬はさらに驚いたことに、なんと63頭。もちろん根岸S除外組が流れてきてのことなのだが。交流重賞を勝っているコパノリッキーでさえ出走順47番目で、同馬は13日に行われる佐賀記念でも補欠。さらにダートグレードで何度も2着があるメイショウタメトモは48番目、GIの東京大賞典4着、GIIの東海S5着というサトノプリンシパルは52番目という絶望的な出走順位だ。
一方で、年末から年始に地方で行われたGI/JpnIを見ると、東京大賞典、川崎記念ともに地方馬は出走枠に満たず、本来なら期待されるべき南関東所属馬の出走はそれぞれたった3頭(東京大賞典はそのうち1頭が取消)だった。
もちろん南関東に重賞勝ち馬やオープン馬が少ないわけではない。東京大賞典の2日後、大晦日最終レースに行われたおおとりオープン(大井)、年明け3日の重賞・報知オールスターC(川崎)、川崎記念翌日の多摩川オープン(川崎)などのいわば裏番組は、いずれもフルゲートかフルゲートに近い頭数で、重賞勝ち馬がひしめく好メンバーだった。
本来であれば裏番組に出た有力馬が、東京大賞典や川崎記念に出走して、最高峰のGI/JpnIを盛り上げるべきだが、関係者を責めることはできない。勝てる可能性のあるレースを選ぶのは当然のことだからだ。
“交流元年”と言われ中央・地方のレースが互いに広く開放されたのが1995年のことで、来年で20年。この間、ダート路線の充実にともない、それまで芝中心に行われてきた中央でもダート馬のレベルが格段にアップし、層が厚くなった。
先に挙げた中央・地方それぞれの問題は、充実してきたダート路線の馬たちに対して、番組やしくみがまったく追いついていないということだろう。
1995年にスタートした中央・地方の交流促進は当時としてはかなり画期的なものだったが、すでに多くの人に言われているように、地方で行われている交流重賞の中央枠を増やすことのほかにも、中央の上級クラスの馬が出走できるレースを地方に増やしたり、中央・地方間での移籍要件を緩和するなど、横たわるカベをさらに低くする必要に迫られているのではないか。
斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。