馬主が楽しめる競馬場に

2014年02月14日(金) 18:00 26


◆ファンサービスとともに、馬主へのサービスを

 地方競馬の馬券の売上げが好調だ。発表された2013年度(2013年4月~2014年1月)の開催成績を見ると、なんと!全主催者の売得額が、総売得、1日平均ともに前年比で100%超えとなっている。伸びが顕著なのは金沢と高知で、総売得、1日平均ともに前年比140%台。前年度に比べて1.5倍近い売上げとなっているのだ。おそらく地方競馬IPATでの発売があってのことだが、それにしてもスゴイ。

 地方競馬全体では総売得で108.5%、1日平均で117.1%となっている。総売得に対して1日平均の割合が高いのは、福山競馬の廃止によって、その分の開催延べ日数が減っているにもかかわらず、全体の発売額が伸びているためだ。

 さらに盛り上げていくために、しかし地方競馬に不足していることのひとつが、馬主に対するホスピタリティだと思う。

 馬券の売上げはもちろん重要なことだが、馬が少なくなってしまえば競馬が盛り上がるわけがない。競馬場に馬を増やすには、馬主が競馬場に来たときに、楽しいと思えるような場所でなければならない。そうでなければ馬主自体も増えない。

 馬券の売上げが場外発売やネットにシフトして、競馬場に来場するファンが増えない今であればこそ、空いているスペースを利用して馬主が快適に過ごせるスペースをつくるべきだろう。できれば調教師と一緒にレースを見られるような場所に。

 地方競馬には、開催中に馬主が調教師と会おうとすると、場所がかなり限られてしまうような競馬場も少なくない。公正確保を第一に考えればしかたない面もあるのかもしれないが、所有している愛馬と過ごす機会が限られる馬主にとっては、毎日馬を見ている調教師と馬のことを話しながらレースを見たいと思うものではないだろうか。

 また最近、中央・地方双方の馬主になっている方からよく聞くのが、地方でも馬主の勝負服にできないかというもの。ご存知の方も多いと思うが、地方競馬でもホッカイドウ競馬だけは希望すれば、2歳戦(JRA認定以外の未勝利戦を除く)、3歳以上のオープン、重賞および交流重賞に限られるものの、登録した馬主の勝負服を使用することができる。ホッカイドウ競馬でできるものが、ほかの主催者でできないということはないだろう。

 さらに日本の競馬で思うのが、ファンサービスは盛んにアピールされるが、馬主に対するサービスはほどんどアピールされることがないということ。馬主になるための要件や手続きについては宣伝されることはあるが、「馬主になるとこんなに楽しいですよ」というアピールはほとんど見かけることがない。もちろんそのためには、先に示したような、競馬場で馬主が満足できるような居場所を提供することなどが必要なのだが。

 さらに中央の馬主が地方の馬主になるのを敬遠することの理由として、地方競馬の番組がわかりづらいということもあるのではないだろうか。オープンや重賞クラスの馬になれば、次はいつのどのレースに出走するのか、日程的な予定を立てやすい。しかし多くの主催者では開催ごとにしか番組が発表されず、特に下級条件の馬は全登録馬が出そろった後でないと、いつの何レースに自分の馬が出走するのかわからない。これでは自分の馬を競馬場に見に行きたいと思っても、なかなか予定が立てられない。

 馬主に楽しいと思ってもらうためには、地方競馬にはまだまだ改善すべき点は多いように思う。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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