2014年02月18日(火) 18:00
▲トレセンで取材活動中の細江純子さん(左)
ソチ五輪盛り上がってきましたね。ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒルで葛西さんが悲願の銀メダルに輝きました。4年に1度の大舞台で全てがかみ合うことの難しさや失敗は絶対に許されない繊細なスポーツに、7度もチャレンジする精神力の強さに感激しました。
そしてまた、「金メダルを取るという新たな目標ができた」と話されていました。いつも自分自身の位置に満足せずに次の目標を持つことは、周りの人たちにも大きな影響をあたえるんでしょうね。
男子フィギュアスケートの羽生さんも、東日本大震災を乗り越えての金メダル。いろんなドラマに感動の連続です。
オリンピックの話はこれくらいにして、競馬も盛り上がってきましたが、雪のため2週続けての代替競馬が行われることになり、調整が大変でしょうね。
今週は、いよいよ今年初のG1フェブラリーSが行われます。G1レースになると、細江純子さんのインタビューや馬の評価が多くなってきますよね。そんな純ちゃんに注目しました。
▲同期の“花の12期生”集合
常石 花の12期生で同期ですが、当時の印象は残っていますか?
細江 花って言われたけどちっとも花じゃなかったよね。ずっと男子と同じような扱いをされていたでしょう。牧原さんだけはお嬢様だったよね。
常石 いえいえ、純ちゃんもお嬢様扱いしましたよ(笑)。
細江 だって“おばちゃん”って呼んでたでしょう(笑)。でも、みんな真面目すぎるくらい真面目だったよね。もう少し違う角度から馬を見る余裕があればもっと違っていたかもね。
常石 柳田厩舎に所属になった時の先輩騎手は?
細江 上村騎手がいましたが、所属になった時はもういませんでした。でも、いろいろ教えていただきました。デビューの時は40勝で新人賞を獲って、2年目が53勝して、デビュー3年以内で100勝したでしょう。とっても上手かったですよね。尊敬しています。
常石 そんな先輩がいると心強かったですよね。騎乗スタイルも特徴ありましたね。
細江 それなのに残念です。引退を決められたでしょう。目のご病気もあって、かなり辛い思いされたんでしょうね。
常石 そんな先輩が、調教師を目指されるから心強いですね。
細江 そうだよね。馬への思いやりがあって、当たりも柔らかいし、馬のこともよく知っているもんね。楽しみにしています。
常石 純ちゃんも引退してからリポーターになって何か変わりましたか?
▲騎手引退後はリポーターとして活躍
細江 馬の見方が変わりましたよ。騎手時代は、乗ることだけで馬の外しか見てなかったと思います。厩舎を訪問するともう、目から鱗ばっかりです。私が乗せていただいた馬一頭に対してこれだけの多くの方々が携わっていて、365日休み無く関わっているでしょう。びっくりしました。
それに、馬の声を聞いてなかったな。内面を無視して外見だけで判断してたから、上手く乗れなかったんだと思う。乗ることが必死で余裕がなかったね。今思うと申し訳なかったなぁ。
常石 そういう思いがリポーターで生かされているんでしょう。
細江 いえいえまだまだ勉強不足です。
常石 ご主人からのアドバイスはありますか?
細江 仕事のことはあまり言わない人だから、アドバイスのようなものはないけど、そばで見ていると馬のことしか考えていませんね。
常石 えー。純ちゃんのこと考えてくれないんですか(笑)?
細江 そうなんですよ。息子のお風呂も一人で入れて…(苦笑)。
常石 あっ、そうそう! 赤ちゃんが生まれたんですよね。おめでとうございます! 男の子ですよね。かわいいでしょう。
細江 ありがとうございます。生活がまったく変わりましたね。夫も、息子のことは大事に思って接してくれています(馬と同じくらいかな)。子供って凄いパワーを持っているなって感じます。大変だけど、私たちのお母さんもこんなにして子育てしてくれたんだと日々感じています。でも、まだまだこれからなんでしょうね。つねちゃんのお母さんに子育てのアドバイスをお願いしたいです。いろいろ教えてもらわなくては。夫の母にもお世話になっています。
常石 純ちゃんが母親をやってるなんて、想像つかないな(笑)。だから馬の見方も変わってきたんですね。
細江 厩舎訪問をしたり夫を見ていると、馬の内側をしっかり見て、ちょっとの変化にも気づき、その馬にとって何をすればいいかをいつも考えています。例えば、春になってくると馬っけがでてくるでしょう。そんな時、馬房の窓を他の馬とは違う時間に開けたり、調教の前と後での馬の気配や餌の食べ方など、細かいところまでチェックしているんですよね。みなさんと同じことはしていないですね。夜中でも時間関係なく馬を見ています。
常石 パドック解説などにいかされているんですね。特に馬を見るポイントなどありますか? どんなところを見てコメントを出していますか?
細江 馬を見る目はまだまだ未熟ですが、私なりに感じたことをきちんと書くようにしています。馬のいいところばかり評価するのではなく、悪かったことや弱い面もチェックして、担当厩務員に話を聞いて、いい状態の時とどこが違うのかを明確にして、いい状態に持っていく過程をしっかりと聞くようにしています。わからない時は映像を見てチェックします。夫にもアドバイスをもらっています。忘れるから、とにかくメモして書いておくことだよね。
パドックでは、馬の内面と外見のバランスと馬体全体の雰囲気かな。トモが良くても前脚の方に力が感じられなかったり、歩様の仕方も見ています。リズムよく歩いてる馬はいいなと思いますね。パドックで“カッカッ”といい音を鳴らしてリズムよく脚を運んでいるのを見ると、「この馬走ってくれそうだな」「頼もしいな」って感じますよね。
常石 ん〜。とっても参考になりました。僕も見ていると、手綱を持っている厩務員さんと同じリズムでしっかり歩いてる馬は気持ちがいいですね。「こいつは走るぞー」って感じます。同じ方向を向いてる(目指すものは同じ)って感じますよね。
時々、歩くリズムが違ってギクシャクしていることってあるでしょう。まったく違うでしょうけど、僕も毎朝犬の散歩をしているんですが、スムーズに歩ける時と犬がくんくん匂いを嗅ぎに行った時などリズムが狂ってしまうと転びそうになりますよ。(余談)
細江 つねちゃんもしっかり見ているんですね。私も勉強しなくちゃ。
常石 失敗談はありますか?
細江 毎日失敗だらけですよ(笑)。ついこの間もやってしまいました。出産してお休みを頂いていたんですが、2か月後に対談を入れたんです。久々だったのでしゃべりすぎてしまって、対談ではなくワンマンショーやなと言われてしまいました。人にも馬にも聞くって凄い大事なことだなぁって、改めて感じましたね。
常石 語学の勉強に外国へも行かれていたんでしょう。外国から沢山の騎手がこられているので語学も大事です。でも、聞くことって難しいですよね。純ちゃんのおかげでコラムの仕事をさせてもらっています。(感謝でペコリ) 12期生にメッセージありますか?
細江 みんなそれぞれのキャラクターを持って、よく頑張っているよね。特に常石君は凄いよ。元気になってくれて嬉しいです。いろんなこと挑戦しているんでしょう。
常石 いやー(照笑)。皆さんが応援してくれるおかげです。(柴田)未崎も復帰するから楽しみがまた増えました。応援したいですね。お、そろそろミルクの時間かな。今日は長い時間ありがとうございました。最後にファンの方にメッセージお願いします。
細江 競馬に興味を持っていただけるように、貴重な情報提供していきたいと思います。馬のこと勉強しないとね。お互い頑張りましょうね。子育ても勉強しなくては。「子を持って知る親の恩」です。
***
純ちゃん、お母さんになってますます頼もしくなったなぁ。母は強しって感じました。つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]
PS:このコラムを書いてる時に速報! 五輪のスキージャンプ団体も銅メダルに輝く快挙! 葛西選手の涙にもらい泣き。僕も男泣きする日を夢見たいです。
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常石勝義
常石勝義 1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。