2014年02月26日(水) 18:00
◆朝から素晴らしい好天に恵まれたダーレースタリオンの展示会
日程の調整がつかなかったようで、今年は延々26日間もの期間にバラバラに開催された感のある種牡馬展示会。例年どうかするとトップバッターを務めるくらいの時期(2月初旬?)に開催していたダーレースタリオンが、今年は2月24日(月)となった。
ようやく日高も春の気配が漂い始め、この日は朝から素晴らしい好天に恵まれた。ダーレースタリオンの展示会は午前10時に開場、展示は概ね10時判前後からという案内である。社台スタリオンとともにここは招待制となっており、生産者やマスコミ関係者などにあらかじめ案内状が届く。返信用はがきに参加する旨明記し、住所氏名を書いて期日まで返送するルールである。
仮設テントの内部では毎年、飲食サービスが用意されている
スタリオンの一角に今年も巨大な仮設テントが設置され、内部では飲食サービスが用意されている。10時過ぎに到着し中に入ると、入口のところでいきなり暖かいココアを手渡された。これも毎度おなじみの光景で、行き届いたサービスである。
展示会に先立ち、人でぎっしりと埋まったテントの中では合田直弘氏の司会で、古谷剛彦氏、村本浩平氏、グリーンチャンネルでお馴染みの山本潤さんの4人によるトークショーが行われた。おそらく当初は別の方を手配していたものと思われるが、あいにく大雪による開催変更のあおりを受け、この日は東京と京都で競馬が行われていたため、急きょこのメンバーとなったと聞き及んでいる。
展示会に先立ち行われたトークショー(左から合田直弘氏、山本潤さん、村本浩平氏、古谷剛彦氏)
種牡馬展示は予定通り10時半から始まった。L字型に人々が並び、一角に車載タイプの大型スクリーンも用意されている。合田直弘氏の司会でパイロからディープスカイ、フリオーソ、アドマイヤムーンなどの在厩種牡馬たち6頭が次々に引き出される。1頭ずつに自身の現役時のレース映像や産駒の出走したレース映像などが流され、その後ゆっくりと種牡馬が登場する。じっくりと展示に時間をかけている印象だ。
ダーレーの新種牡馬はモンテロッソとハードスパン。社台スタリオンはともかく、総じて近年日高で繋養される新種牡馬は、種付け料を割安に設定している場合が多いのだが、そんな中にあってハードスパンは出生条件ながら400万円と高めの価格だ。
当日お披露目された新種牡馬のハードスパン
丁寧に1頭ずつたっぷりと時間をかけて展示が行われた後、参加者はテント内で飲食サービスを受ける。毎年ここでしか会わない人もいるし、露骨に「付けないけど、飯食いに来た」と口にする生産者も少なくない。帰り際にはお土産を渡されるのもいつもの光景だ。
公式発表によれば参加人数は約700人とのこと。日高で開催される種牡馬展示会の中では最も参加者が多かったのは言うまでもない。
その翌日、25日(火)には新冠の優駿スタリオンで種牡馬展示会が開催された。これが今シーズンの一連の展示会の最後となる。
優駿スタリオンでは、新種牡馬が5頭を含む全18頭がお披露目となった。ここの今年の目玉は、何といってもヘニーヒューズだ。本馬父ヘネシーは、本邦でもヨハネスブルグやサンライズバッカスの父として知られるが、ヘニーヒューズの価値を俄然高めたのが、もちろん直仔の朝日杯FS優勝馬アジアエクスプレスの存在である。輸入されシンジケートが組まれることになってからいきなり結果が出たことにより、問い合わせが殺到したとも言われる。本来ならば、日高の種牡馬展示会では、新種牡馬が展示の時点ですでに満口になっていることなどまずないのだが、この馬だけは別格らしく大変な人気になっているらしい。近年稀なドンピシャのタイミングで輸入された種牡馬と言えよう。
ドンピシャのタイミングで輸入されたヘニーヒューズ
フサイチセブン、スマートロビン、エスポワールシチー、ロジユニヴァースと次々に新顔が紹介され、5頭目がヘニーヒューズであった。いかにもアメ車っぽいがっちりとした体型で武骨に見えるほどだが、その分だけ仕上がり早く実戦向きなのだろう。
お披露目されたエスポワールシチー
この日も日高は天候が良く、穏やかで過ごしやすかったせいか、優駿スタリオンにはかなり多くの関係者が詰めかけた。公式発表では400人超という。
ダービー馬ロジユニヴァース
この優駿スタリオンをもってシーズン開幕を飾る種牡馬展示会が幕を閉じた。すでに今月に入り、早い牧場ではどんどん交配が進んでおり、また今年もいよいよ生産地は多忙にシーズンに突入したことを実感させられる。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。