ゆかりのオースミコスモ話で大盛り上がり!

2014年03月04日(火) 18:00

競馬の職人


 先週行われた中山記念・阪急杯・アーリントンC。春競馬に向けて強い馬が始動してきました。どの馬が勝っても…といった豪華メンバー。

 その中で、アーリントンCを抜群の脚を使って勝ったミッキーアイルは、4連勝でGIレースへと名乗りを上げてきました。

■アーリントンCレース映像

アーリントンCレース映像

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 中山記念は、ジャスタウェイに跨った横山典騎手の手綱さばきに感服です。直線であの狭いところから抜け出す強さは、また新しいジャスタウェイをみせてくれました。堂々の勝ちっぷりでドバイへ向かってくれるでしょう。今月末にドバイワールドカップが行われ、日本馬も沢山出走するので楽しみです。

■中山記念レース映像

中山記念レース映像

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 阪急杯のコパノリチャードも豪脚を使いましたね。2日連続で重賞制覇した浜中騎手の勢いも凄いです。

■阪急杯レース映像

阪急杯レース映像

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 その前のフェブラリーSを生で見たんですが、コパノリッキーに跨った田辺騎手の好判断・好騎乗でGI馬に導いた勢い、「あぁ、すごいな」とため息が出ました。若い世代の活躍は、盛り上がってきますね。

■フェブラリーSレース映像

フェブラリーSレース映像

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 先週から新人騎手もデビューして、益々競馬から目が離せませんね。ソチオリンピックに続きパラリンピック、そしてドバイと、またまた寝不足が続きそうです。みんなで応援しましょう!

 さて、今週は、開業10年目にして200勝をきっちり決めてきた中尾秀正先生に厩舎運営についてお聞きしました。

***

常石 3月になると新人調教師や新人騎手がデビューしてきますが、何かアドバイスありますか?

中尾 いやいや。僕自身がまだまだ新人というか新米なのでありません。みなさんよく勉強されているので独自の方法でやっていくでしょう。個性のある方ばかりなので、ぼやっとしていたら追い越されてしまうなぁ(苦笑)。

常石 あっ、そうです、そうです、通算200勝おめでとうございます。

中尾 ありがとうございます。昨年末に区切りをつけることができよかったです。また初心に戻ってスタートです。

常石 開業して何年目ですか?

中尾 11年目に入ります。2002年に免許もらっていたんですが、2年間(父の)中尾正厩舎で助手として修行しました。つねと一緒にみっちりしごかれたな(笑)。

祖父も父も伯父2人も調教師ですし、助手や装蹄師もいるでしょう。競馬関係者ばかりの環境で育ったので、この道に行くしかなかったですね。これまで順調にこれて良かったです。父まで届くように頑張ります。みんなで集まる時は、競馬の話ばかりで盛り上がっていますよ。

常石 そうなんですか。(伯父さんの)謙太郎先生にもお世話になりました。調教師になる前に勉強になった馬はいますか?

中尾 アフリートの仔でビッグウルフという馬かな。厩舎に来たときは、飼い葉は食べないし、繊細でわがまま。その上すぐに脚がはれたりと手がかかった。どっちかというと悪い見本みたいな馬だったけど、背中の乗り味はよかった。担当の厩務員さんがあきらめずによく面倒見てくれたと思う。GIを勝つ馬に成長してくれたんだから凄い馬だったよ。

あの馬は人気もあってよく話題になったね。とんねるずの番組に出たこともあったね。あきらめずに、こつこつ丁寧に面倒を見てケアすることが大事だなと実感しました。つねもまたがったことあるよな?

常石 はい。調教で乗せていただきました。凄い乗りやすい馬なのに手がかかって、厩務員さんを困らせていましたね。

中尾 ヤンチャで手がかかる子ほどかわいいってことかな。手がかかるといえば、オースミコスモも、手がかかったけど乗りやすい馬だったな。とっても小さい馬だったから、体が弱かったかな。

フジキセキ産駒でいい血統だったもんね。新馬戦・赤松賞と2連勝して、2歳女王決定戦・阪神JFで惜しくも3着。牝馬三冠レースは完敗だったけど、チューリップ賞は僅差で負けて惜しかった。

準トライアル三冠、スイートピーS、紫苑Sなどもよく頑張った。こつこつ勝ち星を上げて、重賞も勝って、お母さんになってくれた。いま、コスモの仔がうちの厩舎にいるよ。これから育てていくけど、コスモみたいに頑張ってくれるのが楽しみだな。

競馬の職人

▲オースミコスモの2番目の仔、オースミツバキ

常石 関屋記念で牡馬のアドマイヤマックス相手にレコードタイのタイムで勝ったのが嬉しかったですね。あの時も先生が僕のそばにいてくれましたね。

中尾 コスモは、6歳までコンスタントに息の長い競馬をして、よく走ってくれたね。そうそう、関屋記念の後、空港でアドマイヤのオーナーとご一緒になって、チクチク言われたよ(笑)。でも、後から上手く乗ったなと褒めてくれたよ。やっぱり嬉しいね。

常石 はい。そう言えば、中山グランドジャンプで僕がGIを勝った時も、先生が付いてきてくれましたね。いつもそばにいてくれたので心強かったです。ありがとうございます。って、僕の思い出話で盛り上がってすみません。本題に…。え〜、コスモの子供いるんですか。楽しみですね。厩舎では、調教はどのようにされているんですか?

中尾 助手の時とは違って責任が大きくなってくるので、1戦1戦無事に走って、その後に結果が付いてきたら良しと思う。無事だと次があるからね。結果を出していくのも大事な事なので、馬の能力や個性を把握して、飼い葉を変えたり馬のケアをきちんとしています。厩務員さんたちが頑張って丁寧に面倒を見てくれています。毎日のケアが一番大事だと思っています。

常石 今、集団調教がいいといわれていますが、どう思いますか?

中尾 その方法もいいとは思いますが、馬には個性もあります。みんなで一緒がいいという馬もいるし、馬込みを嫌ったり、他の馬が恐くて逃げ回るような恐がりの馬になってしまうこともあるので、馬の状態を見て調教をしています。

オンとオフはきっちりつけていますね。あとは、馬はアスリートだから馬体がしっかりしていないとね。人間で言うと中学生から高校生ぐらいの育ち盛りだから、しっかり食べないと力が出せないでしょう。好き嫌いもあるので、馬に合わせて飼い葉を作っています。ビタミンもあげて、賢い子になるように育てています。それから、心のケアも大事ですね。いっぱいやることがあるね。子供と一緒やわ。

常石 先生の息子さんも、ちょうどこれくらいの年齢ですね。

中尾 そうやで。子育ては大変やな。何とか上の息子は大学に入ってくれたけど、馬も子供も一緒やね。

常石 コスモの子供の他に楽しみな3歳馬を教えてください。

中尾 エイシンエルヴィンだな。なかなかセンスのいい馬で、馬体もがっちりしていて頼もしいので期待しています。

常石 そう言えば、先週も3歳のパドルウィールが勝ち上がり。おめでとうございます。3歳の有力馬は楽しみですね。あとは、何と言ってもマジンプロスパーもいい馬でしょう。

中尾 マジンは、やっぱりマジンだね。最初はなかなか走ることができなくて、一度地方に行ったんだけど、また戻ってきて復活しました。2年前に阪急杯を勝ってくれたね。いつも馬に合わせてケースバイケースで仕上げています。これが息の長い競馬ができる馬に育つように思います。

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▲マジンプロスパー自身初の重賞V、2012年阪急杯

常石 先生は、いつも優しい眼差しで馬やスタッフを見ているのが印象的です。最後にファンの方へメッセージをお願いします。

中尾 いい馬を元気に送り出すのが僕たちの仕事だと思っています。そんな元気な子供たちを、テレビではなくぜひ生で見て欲しいと思います。この子達から何かメッセージが伝わってくると思います。迫力も違いますしね。スポーツは生の観戦がいちばんいいですよね。オリンピックも是非、生で見てみたいですね。

常石 長い時間ありがとうございました。

競馬の職人

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 いつも優しく話してくださる先生にホッコリします。その奥に秘める馬作りに対する信念を感じました。オースミコスモの子供たち、がんばれ! ウイナーズサークルで待ってるからね。つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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