高知競馬が止まらない

2014年03月07日(金) 18:00


◆高知競馬の持つ「底力」

 3月18日に行われる高知の黒船賞で、ネットでちょっと話題になっているのが、そのCM動画。

 https://www.youtube.com/watch?v=FHRQYeC06xw

 昭和の某怪獣映画の予告編風で、40歳前後から上の世代にはちょっと、いや、かなり懐かしく思うのではないだろうか。この映像をつくった人もおもしろがりながらつくったんだろうなあというのが伝わってくる。

 ネットでの公開だけではもったいないので、とはいえさすがに地上波では予算的にムリだろうから、今からでも地方競馬の中継だとか、もし可能ならグリーンチャンネルとかで流してくれないものだろうか。

 黒船賞のプロモーションということではもうひとつ。『酒場放浪記』で人気の吉田類さんが力強い筆使いでポスターを書かれている。それに併せて、「黒船賞書いてみませんか?」というキャンペーン(?)もやっている。「黒船賞」と書いた書道作品を郵送や写真で投稿すると、高知競馬場内や公式サイトに展示されるというもの。こうしたあまり予算のかからないファン参加型のプロモーションはとてもいい。盛り上がりそうだし。

 http://www.keiba.or.jp/top/news/diary.cgi?no=3897

 そして高知競馬では、3月の開催日が12日間もあるのが、ちょっと前から気になっていた。高知の普段の開催は、1か月に6〜9日間、ごくたまに多い月で10日間というものだった。在籍頭数がそれほど多くないのに、馬の確保はどうするのだろうと思ったのだが、どうやら日によっては1日8〜9レースにして、そのぶん開催日数を増やしたということのようだ。

 通年ナイターの高知では、JRAの開催がある週末の開催では、地方競馬IPATは前半しか発売できないが、平日なら全レース発売ができる。そういうわけでこの3月は、黒船賞当日を含めて地方競馬IPATで発売される平日開催が3日間あった。

 高知競馬は今年度(昨年4月から今年1月まで)の売上げが、前年同期比で総売得金額も1日平均の売得額も、ともに140%台と好調なのは、こうした開催日程などの工夫によるところも大きいのだろう。

 さて、黒船賞の話に戻る。最近のダート交流重賞ではJRA勢の層がかなり厚いものとなって、言い方は悪いが、地方勢はほとんど用ナシというメンバーになってしまうことがほとんど。しかし今回の黒船賞では、地元のトライアルを勝って出走予定となっている3頭とも、グレードレースに出しても胸を張れるメンバーだ。昨年末の兵庫ゴールドトロフィーで2着に入ったエプソムアーロンは言うまでもなく、ファイアーフロートは元中央オープンで、転入後のここ1年弱でも地元高知の重賞2勝のほかに盛岡の芝重賞で3着という実績。トーホウカイザーは元中央準オープンで、南関東に遠征したオープン特別で4着がある。順に10歳、8歳、9歳だが、まだまだ元気だ。

 賞金的には地方競馬の中でも下のほうに位置する高知競馬だが、こうして地方競馬の全国区で活躍できるような馬がコンスタントに出てくるところが、さまざまな意味での底力なのだと思う。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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