2014年03月21日(金) 18:00
◆中京芝を経験済みの馬は2頭のみ
新中京コースの距離1400mになって、まだ今年が3回目。過去2回は大波乱になっているから難しい。2年前は現在とはまるで芝コンディションの設定が違って、さらには重馬場とあって1分24秒0も要している。みんなが慣れていないから、ペース判断もスパートの位置も難しかった。
昨年は良馬場で1分22秒2。しかし、1400mのスプリント重賞なのに、ハナに立った馬の前半3ハロンが34秒9だから、まるで中距離戦のような緩いペース。最初からレースが壊れていたようなところがあった。
また、これは表現が難しいが、最初はスプリント路線や、さらにはこのあとの当面の最大目標になるNHKマイルCに続く路線を展望していたわけではなく、本当は皐月賞や、牝馬なら桜花賞を目標にしていたが、どうも理想とする距離が違うかもしれない。スタミナ不安、総合スピード能力に不安を感じたから、この路線に転換した馬がいることは否定できない。
それぞれの馬には、得意とする距離があるけれど、距離適性と、能力に関係する表現ほどニュアンスの難しいものはない。豊かなスピードがある。豊富なスタミナがある。というのは、前後になにもなければ誉め言葉だろうが、ちょっとしたことで、前者はスタミナがない。後者はスピードが乏しい、という意味になりかねない。クラシック路線から方向転換し、ファルコンS1400mに挑戦するのは、あくまで距離適性を考えてのこと。豊かなスピード能力に真価があるという意味にしておきたい。
◆レベルが高い今年の有力馬
この2頭と並ぶ評価を受けると思えるタガノグランパ(父キングカメハメハ)を中心にとりたい。アーリントンC、シンザン記念の内容から、控えて差す形になれば距離2000m級でも平気と思えるが(12月のラジオNIKKEI杯は0秒3しか負けていない)、サトノルパンと同じで、現時点では短距離の方が持てる力を発揮しやすいから1400m重賞への出走なのだろう。この距離【2-0-0-0】。それも2走前にこの中京コースで1分21秒0(上がり33秒8)を楽に記録しているから、望めばクラシック出走可能な賞金額だが、あえて勝算十分のここに回ってきた感もある。東京スポーツ杯を制したタガノテイオーが代表するファミリーは、ヨーロッパのクラシック血統でもあり、ハイペース追走の厳しい流れになるほど、底力を発揮して台頭の期待が持てる。
人気上位馬が、もっと距離がのびてもOKの総合スピード型の今年は、過去2年のような難解な結果ではないかもしれない。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。