大事なのは正念場での心の有り様

2014年03月27日(木) 12:00


◆正念場で分かれる明暗

 明と暗の分かれ道、競馬で毎週見ている正念場という局面をどう受け止めているか。その山を乗り越えれば先の展望が大きく開けてくる、これははっきりしている。大事なのは、その正念場を迎えるときの心の有り様だろう。目の色を変え、すさまじいばかりの集中力を発揮できるか。そこで踏ん張れるものもいれば、そうでなく挫折してしまうものもいる。やめてはいけない人生の正念場でやめてしまうものは、何をやっても中途半端で終わるもの。孟子が戒めた言葉だ。踏んばって集中すれば、その先が見えてくるので、自分の器をひとまわり大きくすることができる。人生なら、そこから次への展開がひらけるのだが、競馬は、正念場はきっちり乗り越えなければならない。

 昨年後半はレースで不発だったゴールドシップは、阪神大賞典連覇で芦毛の帝王ぶりがよみがえった。正念場という局面で、2番手で折り合いをつけ、直線はパワフルな大きな跳びで後続を突き放した。圧倒的に支持しながらも、多くが不安を抱いて見ていたと思うが、取り合えずは一年前と同じスタートは切れた。スプリングSのロサギガンティアは、春のクラシックに出られるかどうかの正念場を乗り越えた。昨年7月7日の函館の新馬戦は4着だったが、元々福島でデビューするつもりだったのが除外となり、こちらに回ったという事情があった。きつい輸送で敗戦を喫したダメージを立て直すのに時間がかかったが、2連勝したことで抜け出す脚にみがきがかかり、確実にステップアップできた。

 明と暗の分かれ道がはっきり見えた高松宮記念が、かつてあった。春のスプリント王を決めるべくGIに昇格した年で、当時は高松宮杯というレース名。ここに四冠馬ナリタブライアンが出走して大声援を受けたが4着、勝ったのがフラワーパークで、父が名スプリンター、ニホンピロウイナー、血の確かさを証明したのだった。このあと、片や現役を引退したのに対し、片やスプリントのスペシャリストへと進んでいった。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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