2014年03月29日(土) 12:00
◆消費税が競馬に与える影響
もうすぐ4月1日。いよいよ消費税が5%から8%に引き上げられます。今週末は最後の“増税前セール”で身の回りのものを買いだめしておこうという方も多いのでは?私も、春の東京競馬に備えて、京王線の土休日回数券を今月中に購入しておくつもりです。
さて、日本に消費税が導入されたのは1989年(平成元年)4月。当時の税率は3%でした。その後、1997年(平成9年)4月に3%が5%に引き上げられました。その頃、馬券の売り上げはどのように推移したか、世の中の出来事とともに振り返ってみます。
【1989年】 1月 昭和天皇崩御(さまざまな“自粛ムード”拡がる) 4月 消費税導入 12月 東証株価市場最高値、地方競馬年間馬券売上史上最高額を記録 【1990年】 1月 東証株価大暴落(バブル崩壊) 12月 地方競馬年間馬券売上前年割れ(以降、年々減少傾向に) 【1995年】 1月 阪神淡路大震災発生 12月 JRA年間馬券売上前年割れ(1956年から94年まで続いていた前年比プラスがストップ) 【1997年】 4月 消費税率を5%に引き上げ 11月 三洋証券、山一証券、北海道拓殖銀行などが相次いで破綻 12月 JRA年間馬券売上史上最高額を記録(4兆円超え)、地方競馬は1989年以来となる前年比プラス(マイナス傾向に歯止め) 【1998年】 12月 JRA、地方競馬ともに年間馬券売上前年割れ(以降、減少の一途をたどる)
ものすごく大ざっぱではありますが、過去2度の消費税導入と税率引き上げという“節目”は、後になって競馬に大きな影響を与えていることがおわかりいただけると思います。84年にはシンボリルドルフ、94年にはナリタブライアンが3冠馬になっているというのも付け加えておきましょう。
そして、最近の流れです。
【2011年】 3月 東日本大震災発生 10月 オルフェーヴル3冠制覇達成 12月 JRA事業収支、1957年以来の赤字に転落 【2013年】 12月 JRA年間馬券売上2年連続前年比プラス、地方競馬では全主催者が前年比プラスを記録(長期減少傾向に歯止め) 【2014年】 4月 消費税率を8%に引き上げ
過去の例からすれば、競馬界には消費税率が引き上げられる4月以降に正念場が訪れるということ。レースなら当たってほしいデータ分析ですが、これはどうなるでしょうか。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。