得意のインつき作戦で/ニュージーランドT

2014年04月11日(金) 18:00


◆波乱含みの一戦

 次週の「皐月賞」は、かなり難解な組み合わせだから、流れや馬場状態しだいで多くの馬にチャンスが訪れて不思議ない。だが、登録した2勝馬(賞金900万)が少なく、未勝利勝ちの1勝馬(賞金400万)も出走できることになっている。

 牝馬が勝ちつづけて男馬のオープン馬が少ないこと、今季のタフな中山の芝を嫌った馬がいるためと思われる。それと連動するように、このマイル戦も珍しくフルゲートに達せず、一連のクラシックにつながる路線重賞で好走してきた馬は少ない。朝日杯、シンザン記念、きさらぎ賞、スプリングS…などの好走馬が少なく、例年とはちょっと違って、最近10年間のニュージーランドTでは連対したことのないファルコンS組が人気になっている。ファルコンSは2011年まで1200mだったから、1400mになった現在とは異なるが、それでもマイルから1800m重賞で好走した馬が案外少なく、1600mの距離は大丈夫(こなせるの)か、が重要なポイントになるG2は波乱含みというべきだろう。

 種牡馬ショウナンカンプ(その父サクラバクシンオー)産駒が2頭いるが、人気の中心ショウナンアチーヴではなく、ショウナンワダチの方から入りたい。

 ショウナンアチーヴがあわやの2着した朝日杯FSで、こちらはアチーヴから0秒3差の1分35秒2で6着止まりだったが、使い出して3戦目。初の中山を気にしたため、かなりカリカリして返し馬もできなかったうえに、最外の16番枠だったから、最初からスムーズなレースができなかった。

 スムーズといっても、それはこの馬の場合は意味が微妙で、11月のベゴニア賞1600mで馬群の中でタメを利かせ、こじあけるように割って出て、ロサギガンティア(皐月賞の有力候補)を差し切ったようなレースに持ち込めなかったという意味である。

 やや線が細く、カリカリするところは急には変わらないだろうが、ひと息入れて立て直してきたローテーションは悪くない。接戦、混戦向きの切れ味は明らかに一枚上。中山だとめったに外に回らない北村宏騎手が、うまく得意のインつき作戦に持ち込める組み合わせ、枠順と思える。ダイナコスモス、カッティングエッジ、ディヴァインライトなどが代表するマイラー牝系に、ショウナンカンプの組み合わせ。距離はベストに近いだろう。

 現実に朝日杯でこの馬に先着の2着しているショウナンアチーヴが強敵。前回のファルコンSは出負け気味で置かれたうえ、なだめて突っ込んだところが馬群の真ん中。あれで良く0秒4差まで詰めたものだという不本意な負け方だった。巻き返したい。

 同じく朝日杯FSを小差4着(1分35秒1)のマイネルディアベルも強敵の1頭。京王杯1400mでカラダレジェンドに完敗した当時より脚質に幅が増している。  そのカラダレジェンド、イダスウインフェニックスイタリアンネオが続く相手。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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