初重賞制覇のチャンス/福島牝馬S

2014年04月25日(金) 18:00


◆ベスト条件のここで重賞タイトルを

 先週の福島は、3歳未勝利戦の芝1800mで「1分48秒8」、古馬500万条件平場の芝2000mで「2分01秒8」の勝ち時計が記録されている。高速の芝ではないが、春の福島にしては走りやすいコンディション。全体にタイムは速い。

 昨2013年が1分46秒4、12年が1分46秒1、11年が1分45秒4なので、先行タイプが少なくない今年の勝ちタイムは、推定「1分46秒0前後」か。全6頭に芝1800mの経験がある。1分46秒台になっては辛くなる、どちらかといえばタフな芝コンディションを歓迎するグループは狙いの中心ではないだろう。

 ここ2年は断然人気のオールザットジャズが連勝して平穏な結果だったが、それまでの8年間のうち、6回までが馬単5ケタ。波乱含みのレースであるのは間違いなく、軸馬を決めたら、伏兵にも手を伸ばしたい。

 勝機十分と期待したいのは、昨年、1分46秒5(上がりは最速の34秒0)で乗り切っているアロマティコ(父キングカメハメハ)。結果は0秒1差の4着だったが、オープンへの格上がり初戦、初コース、勝負どころではじかれるように1番外に振られたレース内容は、文字通りの惜敗だった。

 秋にはGIのエリザベス女王杯(重馬場)を、最速の上がり34秒1で突っ込み、勝ったメイショウマンボから0秒2差。確実にパワーアップしてみせた。GIでは、ジェンティルドンナの勝った秋華賞を0秒3差の3着もある。ここは初重賞制覇のチャンスだ。

 このアロマティコの最大の特徴は、5勝中の3勝が新潟、小倉に集中し、ビッグレースの好走は京都に片寄るように、高い平坦コース適性を秘めること。母ナスカ(その父サンデーサイレンス)の1歳上は、直線が平坦の京都新聞杯(直後のダービーはディープインパクトの2着)、京都大賞典を勝っているインティライミ。

 さらにその1歳上は、福島記念と七夕賞を勝ったサンバレンティン、さらにその上になる牝馬オーバーザウォールも福島記念を勝っている。ちょっと古くは小倉記念のシャダイチャッター、函館記念のスピークリーズンなどが代表馬に名を連ねる「レディチャッター」のファミリー。日本を代表する平坦一族である。

 ほとんど坂はないに等しい福島コースの1800mは、昨年の惜敗が示すようにまさにベストの条件だろう。54キロ。どうみてもスローはない組み合わせ。小倉と非常に良く似たコースだから、浜中騎手も乗りやすいはずである。

 相手本線は、ひと頃の輝きは薄れかけている気もするが、コースは合うはずのミッドサマーフェア。父タニノギムレットのブライアンズタイム系は、その血統背景からして文句なしの小回り平坦巧者である。鞍上の柴田善臣騎手も、1週目の福島民杯のレッドレイヴンの圧倒的な勝ち方が示すように、このコースは抜群に合っている。  本格化しつつあるサトノジュピター(父アグネスタキオン)も、血統背景に戸崎騎手(コンビで3戦3勝)を重ねあわせるなら、このコースなら重賞級だろう。ミッドサマーフェア、サトノジュピターの2頭が相手の本線。  これに、上昇キャトルフィーユレイカーラがつづく。高配当狙いでトーセンベニザクラ(江田騎手)、今度は行くはずのアグネスワルツを加えたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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