高知競馬の頑張り

2014年04月26日(土) 12:00


◆遠征する人馬は高知の“広報担当者”

 皐月賞の馬券は当たりましたか?先週の当コラムで「買っていい馬券とそうじゃない馬券」のヒントを過去のデータから導き出したのですが、ハッキリ言ってあまり参考にならなかったでしょう?いつものこととはいえ、誠に申し訳ありませんでした。

 でも、実は私、3連複を当てちゃったんです。「弥生賞1着馬は1-3着に来る確率が高い」というのと、「穴なら、前走のトライアルは負けたけど、その前に重賞を勝っていた馬か、若葉Sの2着馬」というのを重ね合わせ、トゥザワールドとワンアンドオンリー、トゥザワールドとウインフルブルームの2頭軸3連複流しを買いました。で、「思い切って消しちゃうなら」と書いてはみたものの、来られちゃったらマズイので、イスラボニータとトーセンスターダムも相手に入れておいたんです。自分で見つけたヒントを元に、「すべてその通りになるわけがない」と考えて買い目を決めたのが正解でした。そういう意味ではヒントが役に立ったわけです。「オマエの言うことを聞いて外しちゃったじゃないか」というみなさま、重ね重ね申し訳ありませんでした!

 さて、話はガラッと変わります。皐月賞当日に佐賀で行われた3歳牝馬の交流戦、ル・プランタン賞で、高知からの遠征馬クロスオーバーが勝ったと思ったら、22日、笠松のオグリキャップ記念でも高知のリワードレブロンが優勝、高知所属馬が相次いで殊勲の白星を挙げました。

 クロスオーバーと言えば、桜花賞トライアルのチューリップ賞でハープスターなどを向こうに回して果敢に先行し、存在をアピールした馬。同馬とコンビを組んだ別府真衣騎手は、これがJRA初騎乗だったものの、外連味(けれんみ)のない、度胸満点の手綱さばきを披露してくれました。今回は、逃げ馬をピッタリマークしての2番手から早めに抜け出す競馬で後続の追撃を封じ、堂々の完勝。別府騎手は「思い通り、先生(父の別府真司調教師)の指示通りに乗れました。クロスオーバーもよく走ってくれました」と、満足そうでした。もちろんチューリップ賞に挑戦した経験も生きていたはずです。

 一方、オグリキャップ記念のリワードレブロンは9番人気(10頭立て)の低評価を跳ね返しての優勝でした。重馬場とはいえ、あの小回りのコースで上がり37秒9のタイムを叩き出したんですから立派なものでしょう。

「地方競馬に吠える」で斎藤修さんも何度かネタにしているように、高知競馬は廃止寸前の危機的状況から奇跡の復活を果たしました。その勢いが、苦しい状況でもひたむきに頑張ってきた高知の人馬を後押ししているような気がします。

 全国の交流競走に積極的に遠征している馬と騎手は、高知の“広報担当者”。昨今の活躍が、「高知の馬券も買ってみようか」というファンの拡大につながるといいですね。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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