【トレセンお仕事ガイド】密着取材第2弾!調教班トラックマンの職人技を学ぶ(2)

2014年04月28日(月) 12:00

おじゃ馬します!

■LESSON3:応用編〜併せ馬の対処方法

加藤 時計の計算の仕方は分かりましたか?

赤見 はい。でも、計算が苦手で…。計算機が手放せない。加藤さんは計算機がなくてよくわかりますね。

加藤 計算機なんて使っている時間がないですよ(笑)。数字をパッと見ただけで、時計が分かっちゃうんです。

赤見 すごい。これは数学が得意じゃないと無理ですね。馬場で起こっていることを全部把握しながら、同時に計算もして、こんなに頭を使ってるんですね。尊敬します。あの、2頭とか3頭の時は、その分だけ押すんですか?

加藤 押す時もあるんですけど、忙しい時は押せないので、1回押して、馬の間隔から計算します。1馬身のときで0.2秒、2馬身なら0.4秒引けばいいんです。

赤見 なるほど! 長いところから走っていて、どこからが時計というのは分かるんですか?

加藤 微妙な速さだと分からないですね。そういう時は全部押しておかないとっていうことです。厩舎によっては急にスピードアップするパターンもありますから、それはずっと押しておかないといけないですね。あとはある程度、「この馬が追い切る」っていうのは、出てきた時の雰囲気だとか、競馬のローテーションとかで分かりますからね。

赤見 厩舎の調教スタイルも、だいたい把握されているっていうことですね。

加藤 そうです。この厩舎がこのコースに出てきたら速い時計を出すなとか、何曜日に何をやるなとか。そういうのはだいたい把握してますね。

赤見 厩舎班だと担当厩舎がありますが、調教班は全厩舎を見なければいけないわけですね。

おじゃ馬します!

▲加藤「厩舎の追い切りパターンは把握しています」

■LESSON4:最終課題、独り立ち!

加藤 では、ここからは全部の馬を押してゼッケンも取って、時計を作ってもらいますので。

赤見 はい!

―ゼッケン番号、時計を必死でメモしている間に、馬がゴールしてしまいました。

加藤 下は見ない! 時計班は上だけを見る! これは気をつけてください。下ばっかり見ていると今みたいに行かれちゃうので、基本は顔を上げてないといけないんです。だから、ストップウォッチは下じゃなくて見える高さに持つ。あと、双眼鏡ばかり見てると違う馬が来てたりするので、双眼鏡を見るタイミングも難しいですね。

―赤見さんの取った時計をチェックする加藤記者。「途中でラップが落ちるのは何かがおかしいということですね」「最後の1Fが速すぎるので、1ハロンのところで押すタイミングがずれています」と、細かい指示が飛びます。

おじゃ馬します!

▲記者席からの角度によって、押すタイミングが難しい

赤見 見る角度で押すタイミングが。

加藤 そうなんですよね。最後の1Fは、たしかにちょっと押すのが難しいんです。ゴールも、人によって若干違うんです。あ、フェノーメノがあそこにいますね。それではフェノーメノの時計をちゃんと取ってみてください。赤見さんの時計を採用しますから。今までより気持ち早目に押す感じでやってみてください。

―赤見さんの取った時計から、このようなタイムが導き出されました。

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(フェノーメノ)
506 106 279 436 133 260 7分どころ 馬也
(計算した時計)
6F95.4 5F75.4 4F58.1 3F42.4 1F12.7
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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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