2014年06月07日(土) 18:00
◆総合力勝負になる
予報を大きく上回る雨がもたらす影響は大きい。スピード能力と切れ味のマイルG1ではない。タフな総合力、重馬場の巧拙にはとどまらない底力が求められそうである。G1になって過去30年、不良馬場で行われたのは、1998年、1着タイキシャトル(岡部騎手)、2着オリエンタルエクスプレス(ホワイト騎手)で決着し、1分37秒5もかかった年だけ。
雨の重馬場で行われたのも、たった1回だけ。1987年のことで、天皇(秋)を押し切り勝ちしたニッポーテイオー(郷原騎手)の逃げを捕まえたのは、最後方近くから直線は離れた大外一気を決めたフレッシュボイス(柴田人騎手)だった。
ほかに稍重馬場で行われたことが2回あり、1989年は最後方近くにいたバンブーメモリーが馬群を割って追い込み勝ちを決め、2004年の稍重馬場では、後方にいた伏兵ツルマルボーイが安藤勝騎手で馬群を切り裂き、同じく後方にいたテレグノシスが2着に突っ込んでいる。
数少ない渋馬場の安田記念を振り返ったところで、傾向が見えるわけでもないが、先行して好勝負に持ち込めたのは、ニッポーテイオー、タイキシャトル、オリエンタルエクスプレスのイメージであり、追い込みを決めたのは、馬場状態がもたらす最後の苦しいしのぎ合いを読んでいたかのような、ベテラン騎手の巧みなコース選択による直線の強襲である。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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