「オートウィユ入口」とは…

2014年06月21日(土) 12:00


◆POG注目馬の気になる馬名

 22日(日)の阪神競馬第5レース、2歳新馬戦にポルトドートウィユが出走します。父ディープインパクト、祖母エアグルーヴという良血馬。POGでこの馬に期待している方も多いことでしょう。でも、私がこの馬をネタにしたのは、馬名に惹かれたから。同馬の名前は、パリ地下鉄10号線のPorte D'Auteuilという駅名に由来したものです。

 ポルトドートウィユを日本風に言えば「オートウィユ入口」。その名のとおり、この駅を出たところには、オートウィユ競馬場(障害専門コース)の入場門があり、そこからほど近いロンシャンで競馬が行われるときには、この駅から連絡バスが出発しています。

 つまり、ポルトドートウィユは、競馬とは切っても切れない関係にある駅、ということ。ロンシャンへはバスへの乗り継ぎが必要ですが、オートウィユは目と鼻の先です。

 私がこれまでに訪れた計200カ所の海外競馬場には、このような“駅前コース”がいくつかありました。パリでは、障害とトロット専用のアンギャン競馬場もその1つ。国鉄のChamp de Courses d'Enghein(アンギャン競馬場)駅を降りると、目の前に競馬場の入場門が見えます。

 アメリカでは、ニューヨークのアケダクト競馬場が代表的(?)な“駅前コース”。マンハッタンから地下鉄A線のFar Rockaway Mott Avenue行きに乗ると、Aqueduct North Conduit Avenue駅の手前、左側に競馬場が見えてきます。同駅で降りれば入場門までは歩いてすぐ。そして帰りのマンハッタン方面行き電車には、競馬場の出口前にある専用のAqueduct Racetrack駅から乗車できるようになっています。

 ニューヨークのもう1つの競馬場ベルモントには、ロングアイランド鉄道“競馬場線”の駅が隣接、開催日には臨時電車が運行されます。これと同じように、オーストラリア最大のレース・メルボルンカップが行われるフレミントン競馬場にも、本線から分かれる支線が伸び、競馬場直結の臨時駅があるのでとても便利です。

 アイルランドダービーを開催するカラ競馬場や、イタリア・ミラノのサンシロ、香港のシャティン、シンガポールのクランジ競馬場もみんな駅の前。イギリスでは、ロンドンから1-2時間ほどで行けるリングフィールドやニューベリー競馬場もそうです。

 ダービーが行われるエプソム競馬場の周りにも3つの駅があります。東京競馬場の周辺に府中、府中本町、府中競馬正門前という3つの駅があるようなもの。エプソム周辺の3駅のうち、競馬場に一番近いのはTottenham Corner駅です。こ の駅を出てすぐのところに、同名の通称で呼ばれる競馬場の第4コーナーがあり、コースに沿って競馬場を眺めながら入場門に歩いて行けます。

 旅行者にはありがたい“駅前コース”。海外競馬を楽しみたい方にオススメですよ!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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