週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2003年12月01日(月) 15:16

 ニューマーケットで行われているタタソールズ・ディセンバーセールは、現在もまだ最終セッションの牝馬部門が進行中(4日まで)だが、今週は既に終了している1歳部門と当歳部門を総括してみたい。

 11月24日に行われた1歳部門は、総売り上げが前年比0.5%アップの331万ギニー、平均価格が前年比1.7%アップの20,560ギニーと、ともにわずかながら前年を上回り、それぞれセールの歴代最高をマーク。更に中間価格は、前年を55%も上回る14,000ギニーに達し、これも市場の歴代最高をマークした。総売り上げと平均がほぼ前年並みで、中間が大幅アップということは、高い方の市場はさほど盛り上がらなかったものの、価格帯で言えば真ん中より下の市場が極めて活発だったことを意味する。購買者たちは現実的であった代わり、競走馬に対する需要は非常に高いレベルであったわけで、マーケットとしてはかなり上質なものであったと見るべきであろう。

 1歳セッションの最高価格馬は、上場200番の父マキャヴェリアン・母ジュミーラの牡馬で、13万ギニーでシェイク・モハメドの代理人ジョン・ファーガソン氏が購買した。父、母ともにシェイク・モハメドが現役時代に所有していたという、思い入れの深い血統。祖母リフィルはG3チェリーヒントンS勝馬で、叔父に日本で走って京成杯3歳S2着などの成績を残したマチカネサンシローがいる。

 1歳セッションにおける日本人によると見られる購買は1頭。上場番号191番、父が最高価格馬と同じマキャヴェリアンで、母デザートビューティという牡馬。祖母がG1ヨークシャーオークスのヘレニックで、叔母に今年のJCに来日した今季の世界最強牝馬イズリントン、叔父にG1勝ち馬グリークダンスがいるという超良血馬が、3万ギニーというお買い得価格で購買され,日本でデビューすることになった。

 続いて11月26日から29日まで行われた当歳セッションは、総売り上げが前年比22.6%アップの2,115万ギニー、中間価格が前年比21.4%アップの17,000ギニーで、それぞれセールにおける歴代最高をマーク。ただし平均価格は前年を2.7%下回る28,668ギニーという結果に終わった。

 これも、マーケットの内容としては1歳セッションと共通するものだった。上場頭数が多かったため総売り上げが伸びるのは折り込み済み。平均がわずかながら下がって、中間が大幅増というのは、高い方の市場が低調で、中間以下の価格帯が活発だった事を意味する。今回のディセンバーセールでは、ワフィック・サイド氏や故ファハド・サルマン殿下のディスパーザルが行われており、高い方の価格帯がヒートアップするだろうとの予測があったのだが、実際の結果はそんな下馬評を完全に覆すものとなった。

 当歳セッションの最高価格は、上場番号1053番の父シングスピール・母ボスラシャムの牡馬。ワフィック・サイド氏のディスパーザルの中でも目玉と言われたこの馬を、シェイク・モハメドの代理人ジョン・ファーガソン氏が52万5千ギニーで購買した。90年代最高の名牝と言われたボスラシャムだが、残念ながらこれまで目立った産駒を出しておらず、最高価格とは言えさほど高い金額にはならなかった。

 当歳セッションにおける日本人によると見られる購買は2頭。1頭は上場番号879番の母ベリングダウンの牡馬。柔軟な馬体を持つ子が多く、日本の競馬にも適応しそうなモンジューの産駒で、8万ギニーで購買されている。もう1頭は、上場番号1193番の父シングスピール・母アンナオヴブランズウィックの牡馬。祖母がドイツのチャンピオン牝馬という血統で、7万ギニーで購買されている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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